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ファブリー病に新たな治療選択肢。患者負担は減らせるのか

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2018年10月31日 PM02:00

現状の治療法「2週間ごとの点滴」は大きな負担に

国の指定難病の1つであるライソゾーム病は、細胞内のライソゾームの中に存在する様々な加水分解酵素の欠損や活性低下により発症する先天性代謝異常症で、2016年度末現在の特定医療費受給者証所持者数は1200人にのぼる。そのライソゾーム病の一種であるファブリー病は、ライソゾーム内の酵素α-ガラクトシダーゼの欠損や活性低下によりグロボトリアオシルセラミドの代謝が不能になり、さまざまな症状が発現する。今年3月、ファブリー病に対する新たな治療選択肢として初の経口薬であるガラフォルド(一般名・ミガーラスタット)が製造承認された。先ごろ製造販売元のアミカス・セラピューティクス株式会社が開催したメディアラウンドテーブルでは、脳神経疾患研究所先端医療研究センター長の衛藤義勝氏(東京慈恵会医科大学名誉教授)がファブリー病の実際とガラフォルドに対する期待について解説した。


脳神経疾患研究所先端医療研究センター長
衛藤義勝氏

現在、ファブリー病の病型は古典型(I型)、遅発型(II型)、ヘテロ女性型(III型)に分けられるが、その症状について衛藤氏は「幼少期は四肢疼痛が多く、20代以降に蛋白尿などの腎障害が顕著になり、中年以降では心疾患、脳血管障害など非常にさまざまな症状が出てくる」と説明。診断では、家族歴とともにα-ガラクトシダーゼの酵素活性検査、グロボトリアオシルセラミドの血清中や尿中の定量などが中心となっており、衛藤氏は「家族歴のある患者が90%を占めるため、確定診断例が1例でると、その周辺で連鎖的に患者が見つかる」と指摘。患者数は一般的には約4万人に1人といわれるものの、地域や人種によって異なり、「日本では新生児のマススクリーニングで7000人に1人という報告もある」と紹介した。

現在の治療はα-ガラクトシダーゼを点滴で補充する酵素補充療法が一般的で、国内でもファブリー病患者約800人がこの治療を行っている。衛藤氏は「酵素補充療法の登場で患者の寿命は約10年延長できることがすでに分かっている」との評価を示した反面、「2週間に1回1~4時間の点滴を受けることは患者さんにとって大きな負担であり、また酵素補充療法では補充酵素に対する抗体ができてしまう可能性があることも治療に難渋する一因」との見解を示した。

ファブリー病のガイドライン作成にも意欲

ガラフォルドは、薬理学的にシャペロン(他のタンパク質分子が正しい機能を獲得することを助けるタンパク質の総称)として機能し、ガラフォルドに反応性のある変異型α-ガラクトシダーゼと結合。この変異型α-ガラクトシダーゼのライソゾームへの輸送を促進することで、ライソゾーム内のα-ガラクトシダーゼ活性を上昇させるという機序で作用する。衛藤氏は「すべての患者さんが対象になるわけではないが、経口で隔日投与が可能になり、なおかつ酵素抗体産生の可能性がないガラフォードの登場は重要」との期待を表明。今後、その他の増えていく治療選択肢も含め、自身が代表を務める厚生労働省難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)ライソゾーム病に関する調査研究班で「(治療)ガイドラインを作成していきたい」との意向を示した。

 一方、先行してガラフォルドが使えるようになったヨーロッパでの事情についてはユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのデリリン・A・ヒューズ氏が講演。ヒューズ氏は自院のファブリー病事例の治療現状について2017年3月と2018年3月との比較データを提示し、過去1年間で酵素補充療法を行っていた患者で、ガラフォルドの適応となる場合は多くが本人の希望に切り替えが進んでいる現状を説明した。また、ガラフォルドの現在の投与クライテリアついてヒューズ氏は、ガラフォルドに反応性のある遺伝子変異があることを前提に16歳以上(酵素補充療法は8歳以上)、糸球体濾過量(GFR)30mL/分以上が必要になると説明。また、「女性では投与開始から数年間は子供を持つことを控えてもらうことになる」とも話した。

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