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73のがん網羅的遺伝子を血液サンプルで検査する医師主導臨床試験を実施-東京医歯大

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2017年09月19日 PM01:30

組織生検よりも非侵襲的な血液からの検体採取

東京医科歯科大学は9月13日、がん患者の血液サンプルによる73のがん網羅的遺伝子検査「Guardant360」を含んだ医師主導臨床試験「PROFILE試験」を開始し、2017年8月28日、プロトコールに基づいて実施をした国内第1号となる検査を同大学医学部附属病院で行ったと発表した。Guardant360は、米ガーダント・ヘルス社が開発。同病院と業務委託契約を締結している。

従来のがんゲノム検査は、患者のがん細胞を生検などで採取して検査を行う方法が主流だ。一方、今回実施された検査では患者から血液サンプルのみを取り、血流内に排出された死んだがん細胞由来のDNAである「遊離DNA」を解析することで、がんゲノム変異を調べることができ、新たな治療法の発見などに期待が持たれている。血液からの検体採取は、組織を採取する生検よりも非侵襲的であり、がん細胞を採取する痛みや検体採取を行う時間を大幅に軽減・短縮することができる。

73の遺伝子を網羅的に解析する検査は今回が初めて

リキッドバイオプシーとも呼ばれるこの検査法は、現時点では組織からの遺伝子解析を置き換えるものではなく、相補的な役割と考えられる。しかし、米国の非小細胞肺がんNCCNガイドラインでは、組織からの繰り返しの生検が困難な場合は、リキッドバイオプシーを考慮する指針が出され、他のがんでの活用も米国を中心に期待が高まっている。

なお、日本国内では、すでにEGFR遺伝子の異常を血液から調べるコバスEGFR変異検出キットが保険収載されているが、73の遺伝子を網羅的に解析する血液からの検査は、今回が初めて。同附属病院では、今回診療中のがん患者がPROFILE試験のプロトコールに基づいたリキッドバイオプシーの最初のケースとしてこの検査を受け、その結果は2週間以内に主治医のものへと届けられる予定。

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