長期収載品の選定療養に関し、「患者がほぼ理解していなかった」と回答した薬剤師が約6割に上ったことが、東京都薬剤師会の調査で明らかになった。患者への選定療養に関する説明にかかった平均時間は「3~5分程度」が56%に上った一方、トラブル事例については「薬局の業務に支障が出た」が7割に達した。今後、集計をまとめ、厚生労働省にデータを提示する方向だ。
会員薬局管理薬剤師462人を対象に10月15~21日の7日間にわたって薬局での対応状況を調査し、回答を得た。患者への説明時、選定療養について既に理解していると感じる患者で、「概ね理解していた(70%以上)」は17%、「半数程度」が21%にとどまり、「ほぼ理解していなかった(30%以下)」が62%に上った。
選定療養に関する説明(仮計算を含む)にかかった平均時間は「3~5分程度」が56%と最も多く、「3分以下」が31%だった。最も長くかかった時間を聞いたところ、7割が「10分以内」と回答したが、最長の説明時間では「120分」と回答した薬剤師もいた。
対応に困ったこと、トラブル事例では「患者に対して説明がかかり業務に支障が出た」が70%、「料金が発生することに理解が得られなかった」が34%、「疑義照会の数が増えてしまった」が23%となった。「暴言などのハラスメントを受けた」も12%あった。
生活保護、公費負担の患者への選定療養に関する説明時、「概ね理解していた(70%以上)」が16%、「半数程度」が14%にとどまった。生活保護、公費負担の患者への選定療養に関する説明時、対応に困ったこと、トラブル事例で最も多かったのが「説明に時間がかかり業務に支障が出た」が67%だった。
高橋正夫会長は8日の定例会見で、「大きなトラブルはなかった」と制度開始前の患者に対するPRが有効だったとした一方、「選定療養の対象になっている医薬品、そうでない医薬品の違いが患者さんには分かりにくく、説明がしづらかった」と述べ、金額面で国民に分かりやすい制度を求めた。