宮田氏は、医療用医薬品市場で薬価20円未満の品目数が包装単位別で49%、金額ベースで10%を占めていることを説明。さらに日本製薬団体連合会が行った調査では、限定出荷・供給停止・出荷停止予定となっている製品状況を今年度の単位薬価帯(10円単位)別に見たところ、10円未満の限定出荷数量が59.9%と大きく、10~20円が26.3%と限定出荷数量の86.2%が薬価20円未満の価格帯に集中していることが判明した。
宮田氏は「6年連続の薬価改定で薬価の下落スピードが早くなり、品目数の5割が薬価20円未満まで下がってきている。3年以上にわたり出荷調整が起こっていることを考えると、20円未満の薬剤で必要な薬が患者さんに届かないリスクが大きくなっているのではないか」と述べ、薬価20円未満の薬剤に関して薬価引き上げを要望した。
その上で「薬価引き上げが実現すれば、メーカーの生産性が改善し、早期に収束が期待できる品目もあるのではないか」と語った。
また、安定確保すべき医薬品の薬価引き上げも要望した。基礎的医薬品と安定確保医薬品カテゴリA・Bの対納入価コスト率は、それぞれ107.3%、104.9%、102.7%と納入価を上回る流通コストが生じており、不採算品目の割合は包装単位別品目数のうち77.9%、77.8%、62.7%と多くが流通不採算品となっていた。
宮田氏は、将来の流通現場の中核となる若年層人材を確保するのが厳しい窮状も訴えた。9月に医薬品卸45社を対象に実施した「医薬品卸の新卒採用・離職・背景に係るアンケート調査」によると、過去5年間の新卒採用における応募者人数が「減少傾向にある」と回答したのが76%を占めた。一方、過去5年間における若年層人材の離職者数が「増加傾向にある」が64%、若年層人材の離職で出荷調整の業務負担が「大いに影響している」と回答したのは60%に達した。