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【医薬品第二部会】塩野義の経口コロナ薬、緊急承認は結論先送り-賛否両論、意見割れる

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2022年06月24日 AM11:15

薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は22日、塩野義製薬の新型コロナウイルス感染症経口治療剤「125mg」(一般名:)に関する緊急承認の可否を行わず、次回行われる薬事分科会・部会合同の審議に結論を先送りした。国内第IIb相の主要評価項目、副次評価項目などの結果を踏まえた有効性の評価が大きな論点となったが、委員から緊急承認に対する賛否両論の意見が出たため、さらに慎重に議論を重ねる必要があると判断した。次回の審議まで少なくとも数週間かかる見通し。

ゾコーバの国内第IIb相試験では、プラセボに対する有意な抗ウイルス効果を示した一方で、症状改善効果では有意差が認められなかった。緊急承認制度を適用する要件として、安全性は「確認」、有効性は入手可能な臨床試験成績から「推定」した上で、医薬品等の承認を可能としているが、初適用となるゾコーバの臨床試験成績が有効性評価の「推定」に該当するかが焦点となっていた。

そのほか、▽動物実験における催奇形性の所見、薬物相互作用の状況、臨床試験における副作用の発現状況等を踏まえた安全性の評価▽現在承認されている医薬品の状況、同剤による入院・宿泊療養者の隔離期間への影響を踏まえた臨床的位置づけ――なども議論となった。

委員からは、「新型コロナウイルスの流行は落ち着いているが今後、第7波、新たな変異株が出てくるおそれもある。治療の選択肢を持っておくことは重要ではないか」「抗ウイルス効果は示されていることから、実効再生産数が小さくなることが期待される」と肯定的な意見もあった。

一方、否定的な意見では、「ゾコーバはウイルス量を減らせるが、臨床症状は改善されていない。あいまいな状況で薬を使うことをどう考えるか」と有効性に対する疑義や「経口薬として三つ目の薬剤、プロテアーゼ阻害剤で二つ目の薬剤となるため、新規性もないのではないか」など、代替性の観点から緊急承認付与に懐疑的な声もあった。

賛成と反対で意見がまとまらず、今回の議論では緊急承認に該当するかについて一定の結論を出すのは難しいと判断。本来であれば部会で承認可否の判断を行った後に、親会議の薬事分科会で審議し、緊急承認制度を適用するかを決める予定だったが、薬事分科会・部会合同の審議を行い、緊急承認について何らかの結論を出すこととした。

次回の分科会・部会合同の審議は公開で行う予定。

 

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