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オミクロン株情報を含む直近の新型コロナ感染状況(12/8現在)を発表-感染研

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2021年12月10日 AM11:00

感染状況は2020年夏以降低い水準が継続も直近は増加傾向

国立感染症研究所は12月9日、第62回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(2021年12月8日、)の報告による、日本における新型コロナウイルス感染症の状況等について発表した。

まず感染状況について、全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約0.6と、2020年の夏以降で最も低い水準が続いているが、直近の今週先週比は1.11と増加傾向となった。また、療養者数、重症者数や死亡者数も低い水準が続いている。実効再生産数は、全国的には、直近(11/21時点)で0.87と1を下回る水準が続き、首都圏では0.91、関西圏では0.74となっている。

オミクロン株は知見・情報がまだ不十分、適切な対応が必要

新たな変異株()は、WHOによれば、12月7日までに米国や欧州各国を始めとして57か国で感染例が報告されており、感染の拡大が懸念されている。また、海外からの入国者が検疫でコロナ陽性と判明した3人は、ゲノム解析でオミクロン株が確認された。オミクロン株については、ウイルスの性状に関する実験的な評価はまだなく、また、疫学的な評価を行うための十分な情報も得られていないが、感染性・伝播性の高さ、再感染のリスク、ワクチンや治療薬の効果への影響などが懸念されている。また、重症度についても十分な知見が得られていない。

水際措置におけるオミクロン株対策への重点化に加え、国内のサーベイランス体制の強化のため、全ての陽性者に対する変異株PCRスクリーニングの実施や、全ゲノム解析の強化、特に渡航歴のある陽性者に対する全ゲノム解析など実施が必要。また、引き続き、WHOや諸外国の動向や、臨床、疫学およびウイルス学的な情報を収集・分析するとともに、国立感染症研究所におけるオミクロン株の感染性、重症度、ワクチン効果に与える影響などの評価も踏まえ、適切に対応していくことが必要。

人出の増加や気温低下などによる感染者下げ止まりが懸念

全国の新規感染者数は非常に低い水準となっているが、感染伝播はいまだに継続しており、一部の地域では、事業所や社会福祉施設等でのクラスターや感染経路不明事案の発生による一時的な増加も見られ、下げ止まりが懸念される。また、都市部を中心に夜間滞留人口が増加している地域もある。年末に向けて気温が低下し、屋内での活動が増えるとともに、忘年会、クリスマスやお正月休み等の恒例行事により、さらに社会経済活動の活発化が想定されるため、今後の感染者数の動向に注視が必要。

ワクチン2回接種完了者は全国民の約77%

ワクチンの2回接種完了者は全国民の約77%となり、12~19歳でも約72%が2回接種済となった。接種率をさらに高めるため、未接種者へのワクチン接種を進めることも必要であり、自治体においては、ワクチン接種に至っていない人々への情報提供を進めることが求められる。あわせて、12月から開始している追加接種を対象者のうち希望する者に対して着実に実施していくことも必要。

引き続き基本的な感染対策の徹底が重要

感染伝播は低い水準であるものの継続しており、今後の感染拡大にも注意が必要。従って、ワクチン接種者も含め、マスクの正しい着用、手指衛生、ゼロ密や換気といった基本的な感染対策の徹底を継続することが必要であり、これは、オミクロン株であっても推奨されている。今後年末に向けて、忘年会なども含め飲食の機会が増えることが予想されるが、その際は、第三者認証適用店を選び、飲食時以外はマスクを着用すること、また、外出の際は、混雑した場所や感染リスクの高い場所を避けることが必要。特に、帰省や旅行等は日常では生じない接触が生じる機会となること等を踏まえ、発熱等の症状がある場合は県をまたぐ移動は控えることが必要。また、軽度の発熱、倦怠感などの症状でも積極的に受診し、検査につなげることも重要。

感染拡大防止につなげるため、感染経路不明事案に対する積極的疫学調査の徹底が必要。また、社会福祉施設や医療機関における感染伝播においては、幅広の検査による積極的な対応が求められる。

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