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ジストニン遺伝子変異による神経/皮膚症状の単独/合併発症機序を解明-新潟大ほか

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2020年05月26日 PM12:30

ジストニン遺伝子変異で起きる神経症状と皮膚症状、合併の可能性は検討不十分

新潟大学は5月25日、複数のジストニン遺伝子変異マウス系統を解析することにより、神経疾患が単独に、または、神経疾患と皮膚疾患が合併して発症する機序を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科神経生物・解剖学分野の吉岡望助教(超域学術院)と竹林浩秀教授らの研究グループが、同研究科皮膚科学分野の阿部理一郎教授および顕微解剖学分野の牛木辰男教授、理化学研究所バイオリソース研究センターの吉木淳室長、米国ジャクソン研究所との共同研究として行ったもの。研究成果は、「Disease Models & Mechanisms」に掲載されている。


画像はリリースより

ジストニン遺伝子(Dst)は、細胞骨格を架橋するタンパク質を発現し、特定の細胞の生存や生理機能維持に必須の役割を果たす。ヒトでは、ジストニン遺伝子の変異によって、神経疾患の「」と皮膚疾患の「」を発症することが報告されていた。ジストニン遺伝子の変異により発症する2種類の疾患は、それぞれ別の症例として報告されてきたが、両方の症状を合併する可能性については十分に検討されていなかった。一方、マウスでは、ジストニン遺伝子の変異によって神経症状を示す系統が複数存在することが知られていた。

神経型と皮膚型のジストニン遺伝子産物の変異により単独症状か合併か決まる

研究グループは、ジストニン遺伝子の異なる変異を持つ2種類のジストニン変異マウス系統を用いて、神経組織と皮膚組織におけるジストニンのアイソフォーム発現と病理変化の有無を比較。遺伝子トラップ法を用いて作製したDstGt系統は、神経型ジストニンを選択的に欠損する。一方で、理化学研究所において自然発症の突然変異により生じたDstdt-23Rbrc系統では、神経型と皮膚型、両方のアイソフォームに突然変異が存在する。この2系統のジストニン変異マウスに共通する表現型として、感覚ニューロンの細胞死と運動異常という神経症状を報告している。

今回、神経型ジストニンの発現はDstGtおよびDstdt-23Rbrcの両系統で減少するのに対して、皮膚型ジストニンの発現はDstdt-23Rbrc系統のみで減少することを発見。さらに、Dstdt-23Rbrc系統の皮膚表皮細胞では、細胞接着構造であるヘミデスモソームの異常が電子顕微鏡で観察された。DstGt系統の皮膚は、対照マウスと同様に表現型は正常だった。ヘミデスモソームには、皮膚型ジストニンが存在するので、Dstdt-23Rbrc系統では、皮膚型ジストニンの変異により、表皮細胞と基底膜の接着が弱まることが考えられた。研究グループは、「今後、神経症状と皮膚症状を合併するヒトの新たな病態や、皮膚症状のみをもつジストニン変異マウス系統の報告も予見される。本研究は、ヒト遺伝病の新たな遺伝子変異の同定、その診断および治療法の開発に貢献することが期待される」と、述べている。

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