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高齢期のサルコペニア、週1回60分・約3か月の運動で身体機能改善-鹿児島大ほか

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2020年05月19日 PM12:15

サルコペニアを有する高齢者を対象に運動教室を実施

鹿児島大学は5月15日、鹿児島県垂水市の高齢者を対象に「」に対する運動効果について検証し、12週間程度のエクササイズによって運動機能の改善が示されたという結果を発表した。これは、同大大学院医歯学総合研究科牧迫飛雄馬教授らの研究グループによるもの。研究成果は「Journal of Clinical Medicine」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

加齢に伴って、骨格筋量は減少し、握力や脚力といった筋力も低下しやすくなる。このような加齢に伴って生じる骨格筋量の減少と筋力の低下は「サルコペニア(sarcopenia)」と呼ばれ、国際疾病分類では疾病に分類される。サルコペニアは、転倒や骨折の危険を増大させ、寝たきりや要介護を招く要因の1つ。そのため、高齢期におけるサルコペニアの予防や改善のための支援方法の確立が求められているが、どのような支援方法が効果的であるかはよくわかっていない。

同大は、鹿児島県垂水市と共同で、健康長寿に向けた取り組みとして「たるみず元気プロジェクト」を実施中。40歳以上を対象に「健康チェック」を行っている。 そこで研究グループは、同プログラムの一環として、サルコペニアおよびプレサルコペニアを有する高齢者を対象に、筋力トレーニングを中心とした多面的運動プログラムの効果を調査した。

椅子の立ち上がりなどの身体機能を改善、自宅でも実施可能であることから運動促進ツールとしての活用に期待

健康チェック(垂水研究2018)に参加した60歳以上の1,011人のうち、国際的な基準と照合して身体機能(握力の低下もしくは歩行速度の低下)の低下と筋肉量の低下を合併した人(サルコペニア)、または筋量低下のみに該当した人(プレサルコペニア)の72人が多面的プログラムに参加。平均年齢は75.0歳、女性70.8%だった。参加者は運動群(36人)と対照群(36人)に無作為に割り振られ、3か月間の介入期間の前と後で、身体機能と大腿(太もも)の筋量のMRI画像で比較した。運動プログラムは、ゴムバンドによる筋力トレーニングを中心とし、柔軟運動(ストレッチ)、バランストレーニング、有酸素運動を含む多面的運動プログラムを週1回(60分)の頻度で12回実施した。

運動群の運動教室の平均参加率は81%。3か月間の変化を比較した結果、運動群で椅子からの立ち上がりや歩行といった身体機能の改善を認めた。大腿の筋面積・筋体積の変化では、運動群で筋量の減少を抑制する傾向にあったが、明らかな筋量の増大は認められなかった。

立ち上がりや移動といった身体機能の改善に、3か月程度の多面的運動プログラムは有効であることが示唆された。「本研究で実施した運動プログラムは、運動手帳を見ながら自宅でも実施可能なプログラムであり、自主的な運動の促進へのツールとしての活用が期待される」と、研究グループは述べている。

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