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遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子を新たに発見-順大

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2015年02月06日 PM03:15

次世代シークエンスを使い、遺伝子配列を調査

順天堂大学は2月4日、同大医学部脳神経内科の服部信孝教授、舩山学准教授らの研究グループが、原因不明の遺伝性パーキンソン病家系を、次世代シークエンサーを使って解析し、優性遺伝性パーキンソン病の1つの原因がCHCHD2遺伝子の変異によることを世界で初めて発見したと発表した。この研究成果は、科学雑誌「LANCET Neurology」に2月4日付で公開されている。


画像はプレスリリースより

同研究グループは、遺伝性パーキンソン病の1大家系からパーキンソン病患者8人と非発症者の5人に、神経学的診察と血液からのDNA採取を実施。8人の患者のうち4人について、最新の遺伝子解析法を使って遺伝子配列を詳しく調べた。

その結果、CHCHD2遺伝子の182番目の塩基がシトシンからチミンに置換されている遺伝子変異を発見。この遺伝子変異は8人のパーキンソン病患者全員にも共通しており、さらにこれらの家系とは別の日本人3家系のパーキンソン病患者からもCHCHD2の遺伝子変異が見つかったという。

発症前診断や予防に繋がる可能性

また、一般的な孤発型パーキンソン病患者と健常対象者のCHCHD2遺伝子配列を比べた結果、特定の遺伝子多型を持つ割合が患者で多いことが判明。この遺伝子多型を有すると2.5~4.7倍パーキンソン病を発症しやすいことが明らかになったという。

これらの研究成果により、遺伝歴のない孤発型パーキンソン病の発症メカニズム解明や根本的な治療法の開発、さらに、パーキンソン病の発症前診断や予防に繋がる可能性があるという。研究グループは今後、CHCHD2遺伝子に変異が入ることでミトコンドリア機能異常などの病的な状態が、どのように神経細胞死に繋がるかを細胞モデルや動物モデル、パーキンソン病患者由来のiPS細胞などを使って詳しく調べる予定としている。

▼外部リンク
順天堂大学 プレスリリース

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