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京都大学 ヒトiPS細胞を使い腎臓の一部を再生

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2013年01月24日 PM12:13

腎臓再生に向けた大きな一歩

京都大学の長船健二 CiRA准教授、前 伸一研究員らの研究グループは、ヒトiPS細胞を分化誘導させ、腎臓の細胞の一部を作ることに成功したと発表した。

研究グループでは、ヒトiPS/ES細胞を、腎臓や副腎、生殖腺へと分化する元となる細胞「中間中胚葉」に、効率よく分化させる技術を確立した。

この技術を用いると、90%以上の確率でiPS細胞を「中間中胚葉」に分化させることができ、さらに実験では、iPS細胞から分化したこの「中間中胚葉」が、腎臓の様々な細胞に分化することも確認することができた。

(この画像はイメージです)

期待がかかる副腎や生殖腺の再生医療への応用

研究グループでは、BMP7(bone morphogenetic protein 7)activin AWnt3aや、低分子化合物(CHIR99021)を用いることで、「中間中胚葉」への分化誘導が効率的になることを明らかにした。

また、この「中間中胚葉」をマウス胎児の腎臓細胞と共に培養したところ、管構造を作り出した。その細胞は、LTL(Lotus Tetragonolobus lectin)が陽性であり、尿細管上皮細胞の指標であるLAMININの発現が確認できたことから、腎尿細管であると考えられる。

このことから、この新技術を用いヒトiPS/ES細胞から誘導した中間中胚葉には、腎臓の3次元構造を作る能力があると言える。

研究グループは、

次のステップとしてヒトiPS/ES細胞由来の中間中胚葉細胞を腎臓の細胞へと効率良く、かつ特異的に分化させる方法を開発する必要がある。

中間中胚葉は腎臓・副腎・生殖腺の3種に分化することが知られており、腎臓のみならず、副腎や生殖腺の再生医療にも応用が期待される。

とコメントをしている。

この研究成果は、「Nature Communications」オンラインに2013年1月22日16時(英国時間)に公開されている。

▼外部リンク


http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data

Nature Communications
http://www.nature.com/ncomms/journal/

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