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薬剤師に相談、適正使用へ意識改善-副作用、適切な対処で有意差

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2017年01月18日 AM10:30


・柴田氏ら

薬剤師に相談して市販の便秘薬を購入した人は、相談せずに購入した人に比べて、副作用に気づく割合が高く、副作用発生後に適切な対処ができていることが柴田佳太氏(昭和大学薬学部生体制御機能薬学講座薬理学部門助教)らのグループが行った調査で明らかになった。また、対面販売で薬剤師から購入した経験のある人は、外箱に記載されている説明や箱の中の添付文書の内容を確認している割合が高く、医薬品を選択する際にも、ブランドや宣伝文句、価格ではなく、相互作用や症状にあてはまっているかなどを重視していることも分かった。柴田氏は、今回の調査結果から「薬剤師への相談によって、購入者の治療や適正使用に対する意識の改善が見て取れる」とし、OTC薬への積極的な関与を訴えた。

柴田氏

■市販の便秘薬対象に調査

柴田氏らは、OTC薬の購入前に薬剤師に相談することのメリットを明らかにするため、市販の便秘薬を対象に、購入前に薬剤師に相談した人としなかった人で医薬品の選択や適正使用にどのような違いが生じたかを調査した。

対象となったのは、1年以内に便秘薬の使用経験がある、東京都、神奈川、千葉、埼玉の3県に在住の20~60歳代の男女500人。実際の調査はウェブを用いて実施した。

これまでに市販の便秘薬を服用して、副作用と思われる症状を経験したことがあると答えた人は、薬剤師と対面で購入した経験がある群で27%だったのに対し、対面販売の経験なしの群では14%と低く、「非対面」の群で副作用に気づけていないことが分かった。

副作用を経験した人には、発現時の対処方法も聞いた。医師や薬剤師、薬局の店員に相談するなど、適切に対処できていた人は「対面販売の経験あり」の群で57%だったのに対し、「経験なし」の群では3%に低下。大部分が「家族や友人に相談」「誰にも相談しなかった」などと回答しており、適切に対処できていない実態が浮き彫りとなった。

柴田氏は、「薬剤師の説明を通して、事前に副作用に関する情報を得ていたことで副作用に気づき、適切な対処につながったのでは」と分析。消費者の医薬品への関心を高めるため、「薬剤師のさらなる関与が必要」とした。

調査では、添付文書の確認状況の把握も試みた。服用の際に、外箱の説明や箱の中の添付文書を読んでいた人は「対面群」で67%だったのに対し、「非対面群」は48%と低かった。

便秘薬を選ぶ際の理由について調べた結果では、「非対面群」においてメーカーやブランド、宣伝のイメージ、価格を重視する傾向が見られたが、「対面群」では、相互作用や副作用、症状に対して効果があるかどうかなどを重視していることが分かった。

もとから医薬品に関心の高い人が薬剤師に相談している可能性もあるが、薬剤師への相談経験から関心が高まったことも考えられるため、柴田氏は「薬剤師側からの積極的な声かけは重要」と指摘。

また、OTC薬に関しては「売りっぱなしで終わっている」のが現状で、適正使用や個々の医薬品の効果・副作用などの情報収集に「もっと薬剤師が関わっていければ、かなりの活躍が期待できる」とした。

 

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