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独立行政法人日本医療研究開発機構、研究費の弾力運用目指す―混合使用など抜本改革に意欲

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2015年01月19日 AM10:00

4月に発足する新たな独立行政法人「日本医療研究開発機構」(AMED)の理事長に就任予定の末松誠氏(慶應義塾大学医学部長)は16日、大阪市内で講演し、各省庁から一元化した医療分野の研究費を弾力的に使っていく重要性を強調。「良い意味での混合使用や年度を超えて使えるようにするなど、現在の補助金の仕組みが抱える問題を、各省庁の協力を得て可能な限り解決していきたい」との考えを明らかにした。現場の創薬研究者等からの声を吸収し、研究費の使い方の抜本的な変革に理解を求めたい意向だ。

■AMED 末松理事長予定者

AMEDは、医薬品創出、再生医療、癌、難病等の7プロジェクトをまとめる戦略推進部を設置し、産学連携部等の5事業部との縦横連携により、医療研究開発の全体最適化を目指す組織体制が固まった。末松氏は、「一つひとつの研究で、生命・生活・人生の三つの“ライフ”の意味を追求していきたい」と基本方針を改めて強調。全ての研究で三つのライフを意識した研究管理を行っていく姿勢を訴えた。

縦横連携に活用する一元化研究費に言及し、「現在の厚生労働、文部科学、経剤産業の各省から出ている研究費は、委託契約による補助金であり、融合して使うことが極めて難しい」と問題点を指摘。「いろいろな縛りのある中で、どのように弾力的に使っていくかが重要」との考えを示した。

その上で、具体的に起こる事例として、バイオバンク事業部で購入した次世代シーケンサーを、がん研究課、脳と心の研究課等に活用できないことを指摘。「横軸と縦軸の交差点で利害の衝突が生じると考えており、創薬にかかわる薬学研究者をはじめ、新独法で現場の声をもう一度しっかり吸収し、どういう方法で弾力的に使っていくか考えたい」と語った。

さらに、「同じような機械が特定の大学に何十台もあるようなやり方で本当にいいのか」と研究費の使い方について問題提起。「現在の補助金の仕組みでは、混合使用が認められなかったり、年度を超えて使用できないという問題がある。こうした委託契約では難しい部分に関して、原資を有効活用していく観点から、本当に国が一丸となって解決できるかどうか、ぜひ厚労、文科、経産の3省と内閣府の協力をいただき、可能な限り問題解決していきたい」と述べ、研究費改革に意欲を示した。

また、4月に迫った新独法スタートに向け、「AMEDのメインプレイヤーである大学研究者、産業界の支援をいただき、3省の溶け合った法人を作っていきたい」と抱負を語った。

 

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