悪性神経膠腫に特異的なバイオマーカーを探索
国立がん研究センターは12月9日、通常CTやMRIなどの画像で診断される脳腫瘍について、血液を用いたリキッドバイオプシーによる、簡便かつ高い精度の診断モデルの作成に成功したと発表した。これは同センター中央病院脳脊髄腫瘍科の大野誠医員らと、東京医科大学医学総合研究所分子細胞治療部門の落谷孝広教授が共同で行った研究によるもの。成果は「JAMA Network Open」に掲載されている。

画像はリリースより
近年の研究で、がんなどの疾患に伴い、患者の血液中でマイクロRNAの種類や量が変動することが明らかになっており、患者への負担が少ない診断バイオマーカーとして期待されている。同センターは、卵巣がんや食道がんの早期検出、骨軟部腫瘍の良悪性の識別などの研究成果をこれまでに発表。本研究は脳腫瘍、特に悪性神経膠腫に特異的なバイオマーカーを同定することを目指し実施された。
マイクロRNAを組み合わせて判別するグリオーマ判別式で、高精度に陽性判定
研究グループはまず、脳腫瘍を有する266例と、有さない314例、計580例の血清中のマイクロRNAを網羅的に解析。特に頻度の高い悪性神経膠腫の鑑別を目指すため、悪性神経膠腫157例、悪性神経膠腫以外の脳腫瘍109例それぞれも解析した。その結果、悪性神経膠腫で有意に変化する複数のマイクロRNAを同定し、そのうち3種のマイクロRNAを組み合わせることで悪性神経膠腫を判別できる判別式(グリオーマ判別式:「Glioma Index」)を作成した。
(QLifePro編集部)
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