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心不全に対する多職種の心臓リハビリテーションが有効な可能性-榊原記念病院ほか

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2020年09月30日 PM12:30

フレイルを合併する心不全患者多数、有効な治療法を探索

日本医療研究開発機構()は9月29日、入院した心不全患者全般、特にフレイルや心臓の収縮能が保たれた心不全患者において、多職種の心臓リハビリテーションが有効である可能性を示したという研究成果を発表した。これは、日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院の磯部光章院長が代表を務める研究グループによるもの。研究成果は「Circulation Heart Failure」に掲載されている。


画像はリリースより

心不全は高齢化に伴い急増する症候群であり、日本では毎年約1万人のペースで増加し、2030年には約130万人が罹患すると推計されている。心不全は増悪に伴う再入院を繰り返し、そのたびに体力や心臓の機能が低下し、最終的に死亡する。

心不全患者にはフレイルを合併する患者が多いが、このような患者に対する有効な治療は確立されていない。加えて、特に高齢の心不全患者では心臓の収縮機能が保たれている患者が半数以上を占めているが、このような患者には有効性が証明された治療方法は薬物療法を含めて確立しておらず、全世界的に大きな課題となっている。そこで研究グループは、運動療法や生活指導、カウンセリングなどを多職種で包括的に行う心臓リハビリテーションが、病気の経過に関与するかを調査した。

リハビリを行った患者で、退院後の死亡および再入院のリスクが23%低下

国内15の多施設共同研究で、合計4,339例の心不全による入院患者を対象として、後ろ向きに5年間追跡して得られたデータの解析をした。その結果、心臓リハビリテーションを行った心不全患者では、統計的にさまざまな影響の要因を調整した上でも、退院後の死亡および再入院のリスクが23%低かったことがわかった。また、フレイル心不全患者や心臓の収縮機能が保たれている患者においても、心臓リハビリテーションの実施は良好な予後と関連していることが明らかとなった。

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