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筋ジストロフィーの新規発症メカニズム、遺伝子FKRPの糖鎖合成機構を解明-都長寿研ほか

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2020年01月21日 AM11:15

FKRPは「4量体」の状態で存在、糖鎖を両端から挟み込むように捕まえる

東京都健康長寿医療センターは1月17日、先天性筋ジストロフィーの原因遺伝子FKRPによる糖鎖合成機構を解明し、筋ジストロフィーの新たな発症メカニズムを明らかにしたと発表した。この研究は、同センターの遠藤玉夫シニアフェロー、萬谷博研究副部長、今江理恵子研究員、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の加藤龍一准教授、桑原直之研究員(研究当時)らの研究グループによるもの。研究成果は、Nature Publishing Group発行のオンライン国際科学雑誌「Nature Communications」に掲載されている。

先天性筋ジストロフィーは、全身の筋力が低下する遺伝子疾患であり、厚生労働省の指定難病だ。研究グループは、糖鎖の異常を原因とするタイプの筋ジストロフィーを発見し、その発症メカニズムを明らかにしてきた。この中には、日本の小児筋ジストロフィーの中で2番目に多い福山型筋ジストロフィーも含まれる。

また、研究グループはこれまでに、福山型とその類縁疾患の原因遺伝子産物fukutin、FKRPの機能を明らかにし、これらが糖鎖を作る糖転移酵素の仲間であること、その働きによって「リビトールリン酸」が2個つながった、ユニークな構造が形成されることを報告している。このような糖鎖は、哺乳動物では見つかったことがない新しい構造であり、病態解明や治療法開発のために、この糖鎖が合成される仕組みを明らかにする必要があった。

今回、研究グループは、X線結晶構造解析によりFKRPの立体構造の解明に成功。FKRPがリビトールリン酸をつなげて糖鎖を伸ばす仕組みを明らかにした。FKRPは、機能未知だった部分(幹領域)と酵素活性を担う部分(触媒領域)で構成されるが、1分子で単独で存在するのではなく、FKRPが4つ集合した「4量体」という状態で存在し、2つのFKRPのそれぞれの幹領域と触媒領域を使って糖鎖を両端から挟み込むように捕まえることがわかったという。FKRPと糖鎖の結合には、リン酸というこの糖鎖に特徴的な構造が必要だった。


画像はリリースより

筋ジストロフィーの変異FKRP、4量体を作ることができずに酵素活性が低下

また、筋ジストロフィー患者から見つかったいくつかの変異FKRPは、4量体を作ることができず、酵素活性が著しく低下していた。これらの結果から、FKRPが複数で集まって存在することは、FKRPが糖鎖を捕まえるために必須であることが判明。同じ酵素2つが協調して糖鎖を捕まえるという方式も、糖鎖を合成する仕組みとして初めての発見であり、ユニークなリビトールリン酸構造を形成する基盤であることが明らかになった。

今回の研究結果より、FKRPの変異によって4量体を作れなくなった患者に対して、4量体を作らせる化合物・薬物を探すことで、筋ジストロフィーの新たな治療法の開発につながることが期待される。また、加齢性の筋肉減少症であるサルコペニアにおいても、この糖鎖の合成が徐々にうまくいかなくなる可能性を探ることで、高齢者医療につながることが期待される、と研究グループは述べている。

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