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【兵庫県/大阪府】共和薬品に業務停止命令-虚偽の製造記録を作成

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2022年03月30日 AM10:15

兵庫県と大阪府は28日、後発品メーカーの共和薬品に対して、医薬品医療機器等法に基づき医薬品製造販売業に対する処分として29日から4月7日まで10日間の業務停止、三田工場(兵庫県三田市)に29日から4月30日まで33日間の業務停止を命じた。同社工場では、製造品目の一部で承認書と異なる方法により製造を行い、虚偽の製造指図書や製造に関する記録を作成していた。後発品メーカーの行政処分は2021年以降、小林化工、日医工、長生堂製薬に続き4社目。

兵庫県は三田工場を33日間の業務停止とした。違反内容としては、同工場において▽成分または分量が承認の内容と異なる製品を販売の目的で製造し、製品標準書や手順書を適切に作成していなかった▽虚偽の製造指図書、製造に関する記録を作成した――ことなどを挙げた。医薬品製造業の製造業務や法令遵守体制に対する業務改善命令も出している。

ただ、医療上の必要性が高く、市場への供給不足が続いている医薬品のうち、厚生労働省と協議を行い兵庫県の了解を得た業務停止命令除外品目76品目の製造業務などは、業務停止の対象外としている。

一方、鳥取県は、鳥取工場(鳥取市)に対する業務停止命令を行わず、業務改善命令にとどめた。社内の自主点検を通じて収集した内容を関係府県に申告して調査が進んだことや、既に業務の改善が進められていることを評価し、比較的軽い処分内容となった。

さらに大阪府は、これら二つの工場への適切な管理が行われていなかったことを重く見て、同社に対し、医薬品製造販売業に対する処分として10日間の業務停止命令を出した。業務改善命令として、製造所の管理監督の強化と法令遵守体制の抜本的な改革など是正措置、再発防止策を講じるよう求めた。

2021年4月に小林化工の製造不正に関する調査結果報告書が公表されたのを踏まえ、同社は5月から自主点検を実施。その結果、三田工場や鳥取工場での製造不備が判明した。

外部有識者による調査委員会報告書では、製造行為に関する不備を製造部門内で解決する「製造部門のブラックボックス化」が問題の背景にあると指摘された。

問題が発覚した医薬品では承認書と相違する製造方法を取らなければ打錠障害を回避できない課題があったが、当時の生産本部長と総括製造販売責任者、製造管理者の個人的な関係に基づく相談により、承認書の変更手続きが取られなかったという。

三田工場の管理職と作業員は、作業マニュアルと異なる作業を行いながら作業マニュアル通りに作業したかのような製造記録を作成することで、「品質保証部や本社に知られることを防ぎ、製造部門内に秘密裏に製造上の課題に対処する体制が定着した」としている。

厚労省医薬・生活衛生局の佐藤大作監視指導・麻薬対策課長は、今回の行政処分に対し、「法令を遵守して信頼回復に努めてほしい」とコメントしている。

共和薬品は同日、「患者さんとその家族、医療関係者をはじめ、全てのステークホルダーの皆様に多大な心配と迷惑をおかけし、心より深くお詫びする」と謝罪する声明を発表した。

また、総括製造販売責任者、品質保証責任者を一新し、角田礼昭社長責任役員については2021年12月から月額報酬50%を6カ月返納する処分を実施。今年1月には外部から取締役副社長を任命し、責任担当役員を2人体制とした。

 

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