国立国際医療研究センター病院AMR(薬剤耐性)臨床リファレンスセンターは、2018年の抗菌薬販売量が前年から3.6%減少したと発表した。調査開始時の13年からは10.7%減少しており、最も少ない販売量となった。種類別では経口フルオロキノロン系薬を中心に減少しており、同センターは、「今年度から抗菌薬の適正使用に関する取り組みが診療報酬の評価対象となったこと、AMRに対する20年までの国の具体的な行動計画を示したアクションプランに関する様々な取り組みが今回の結果につながった」との見方を示している。
今回の調査では、人口1000人に対して1日で販売された注射・経口の抗菌薬の合計量を「1DID」で示した。
それによると、18年の販売量は13.31DIDで、17年と比べると0.5DID(3.6%)減少した。調査を開始した13年と比較すると10.7%減少しており、最小の販売量となった。
種類別に見ると、経口フルオロキノロン系薬8.7%、経口セファロスポリン系薬7%、経口マクロライド系薬5.2%の順に減少した。13年と比べると、経口セファロスポリン系薬が18.4%、経口フルオロキノロン系薬が17.1%、経口マクロライド系薬が18%減少していた。
同センターは、抗菌薬の販売量が減少した理由について、「今年度から抗菌薬適正使用の取り組みが診療報酬で評価されるようになったことや普及啓発活動など、AMR対策アクションプランに基づく様々な取り組みが結果に表れた」としている。
AMRアクションプランは、世界保健機関(WHO)の「薬剤耐性に関する国際行動計画」を踏まえ、関係省庁・機関などが協働して集中的に取り組むべき対策をまとめたもの。
20年までに医療分野における抗菌薬の適正使用を推進することなどを盛り込んでいる。同センターは目標達成に向け、適正使用の推進、定期的なサーベイランス情報発信に取り組む考えである。