社会保障審議会医療保険部会は1日、今秋までに改めて検討を行い、方針を決定する高額療養費制度について、部会の下に高額療養費制度のあり方に関する専門委員会(仮称)を設置し検討を行うことを了承した。今後、患者団体・保険者団体等からのヒアリングを丁寧に実施し、それらを踏まえ具体的な高額療養費制度のあり方に関して集中的に議論を行う。専門委員会における議論の状況は部会に報告する。
この日の部会では、患者に配慮した制度設計に向け、専門委員会では丁寧な検討を行うよう求める意見が多く出た。
横尾俊彦委員(全国後期高齢者医療広域連合協議会会長、多久市長)は、「負担感をどのように解消するかということに思案され、心配されている患者の皆さんにヒアリングし、議論できるようお願いしたい」と語った。城守国斗委員(日本医師会常任理事)も、「制度設計によって医療にアクセスできない人が出ないというのが大前提」と同調した。
渡邊大記委員(日本薬剤師会副会長)は、「継続服用する薬剤が高額療養費に抵触するかどうかの境目の方が多くいる。制度変更の中でそういう方が薬を持ちたくないとならないよう慎重な議論をお願いしたい」と要請した。
また、中村さやか委員(上智大学経済学部教授)は、「患者団体に意見を聞くのは大変意義がある。高額療養費制度が患者の医療や経済状況にどのように影響を与えているか解明できていない。当事者の意見聴取に加えて、実態解明のためのデータ整備をしていただければ」と要望した。