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【三菱ケミカルG】田辺三菱を5100億円で売却-投資会社に、相乗効果なく

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2025年02月10日 AM10:17

三菱ケミカルグループは7日、田辺三菱製薬を投資会社のベインキャピタル傘下に約5100億円で売却すると発表した。2020年に同グループの完全子会社となり、両社は化学と医薬のシナジーを期待したが、十分な効果を得るに至らなかった。同グループは、モダリティが低分子からバイオに変化する中で、田辺三菱の今後の新薬開発による成長に必要十分な投資を行うことは困難と判断した。筑本学社長は同日の記者会見で、「ヘルスケア分野への豊富な投資実績のあるベインキャピタルのもとで成長戦略を推進することが最適な選択である」と説明した。26年3月期第2四半期に実施する予定だ。

筑本社長

今回の売却について、三菱ケミカル側としては田辺三菱の持続成長には後期開発品の強化に向けた積極的な投資が必要であるものの、化学事業への集中投資が必要になることから、「ベストオーナーのもとで成長戦略を実行」することが最適と判断した。

田辺三菱のパートナーは、内外資の製薬企業を含めて探したという。最終的にベインと合意した理由について筑本氏は、田辺三菱の創薬力、育薬力、販売力を高く評価し、ベイン自身に米国に強いチームがあり成長を後押しできること、世界最大規模のバイオ系企業への投資実績を挙げた。

田辺三菱によるバイオベンチャーの日本進出支援、国内外からの導入資金の支援なども期待しているという。

売却の必要性については「(子会社化した当時と)製薬企業を取り巻く環境が大きく変わった。モダリティが変化し、シナジーが薄れていると感じざるを得ない。バイオがかなり大きくなり、(シナジーは)難しいと思ったのが理由」と説明した。

売却のタイミングについては、製薬企業間の競争環境が激しく、スピードも要求されている事業環境を挙げ、早く決断する必要性があったと説明した。

今後の田辺三菱の雇用については、一定期間は雇用に「厚く配慮」することが約束されているという。過去の薬害の対応については引き続きベイン側で丁寧に対応することになっているという。

田辺三菱の社名については「三菱」は外れ、今後検討される。

筑本氏は、田辺三菱について「親孝行な子供で大変感謝している。今回はお互いがより成長するために袂を分かつが、お互いのパーパスの達成に向け、両者ともますます奮起をする必要があると思っている」と心境を語った。

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