新経済連盟は、20歳未満への販売、20歳以上への大容量製品や複数個の販売について従来認められてきたネット販売を一律禁止し、対面・ビデオ通話を義務付けるとしている厚労省案に「疑問がある」とし、追加的な対策を講じた上でネット販売も認めるよう要求した。
ネット販売時における追加的対策では、購入者の状況確認について、「問診書により能動的に状況を申告させ、資格者がその内容を確認する」と提案。複数個の購入制限対策については「一つしか買い物かごに入れられないようにし、複数個同時購入を防ぐ」仕組みを挙げ、同一店舗での頻回購入対策でも、「販売記録の保存と資格者が販売記録を確認する」ことで対応可能とした。関聡司事務局長は「対面で問題がより起こっているからネット販売を禁止して対面をしようというのは理屈がおかしい。厚労省案はエビデンスベースになっていないのでネット販売禁止は見直してほしい」と要求した。
これに対し、厚労省の佐藤大作大臣官房審議官(医薬担当)は、昭和大学大学院薬学研究科の岸本桂子教授が実施した調査結果で、「乱用経験者と非経験者の比較では乱用経験者において有意にネット販売による入手の割合が高いことを示す研究もあり、ネット販売においても適切な販売規制を行う必要がある」と説明した。
委員からもネット販売規制の見直しを求める声が相次いだ。間下直晃委員(ブイキューブ代表取締役会長兼グループCEO)は「(ネット販売禁止によって)正常に購入している99.25%の人への不利益をどう考えているのか。0.75%の乱用者を救うのは大事だが、その救済のために影響を受けるのは避けるべき」と指摘。実店舗で空箱陳列を義務化する案を見送ったことにも言及し、「ネットの規制だけをするのは理解できない」と批判した。
佐藤氏は「乱用していない大多数の人が医薬品を買えなくしているわけではなく、適正な目的で購入する人には買える仕組みがある。オンラインを併用すれば購入でき、決してネット販売を禁止するものではない」と強調。ネット販売では、販売してから購入者の手元に届くまでの時間が短縮傾向にあり、「対面と同様の規制が必要」とした。