中央社会保険医療協議会は20日の総会で、2023年度の薬価中間年改定に向け、22年度薬価調査の実施を了承した。調査対象である医薬品卸の負担軽減を図る観点から20年度の調査内容を踏襲し、調査対象となる販売側の医薬品卸は全体の3分の2とし、購入側の医療機関・薬局も前回調査の半分とした。
厚生労働省が示した22年度薬価調査の実施案では、9月の取引分を対象とし、販売側の医薬品卸については全業者から無作為抽出で選定した3分の2を対象に品目ごとの販売価格、販売数量を調査する。
購入側である医療機関に関しては、21年度薬価調査で対象となった病院、診療所、保険薬局数の半分に絞り、品目ごとの購入価格、購入数量、購入先の医薬品卸に関する情報(業者名、本店・営業所名)を調査することとした。
国立病院機構の入札に関する九州の医薬品卸6社の談合疑惑が発覚した事案を踏まえ、6社と国立病院機構の取引分は除外する。
厚労省は、9月下旬をメドに調査票をこれら調査対象に配布し、10月下旬に回収する予定。収集した情報を精査した上で、12月初旬には総会で速報値を報告する見通し。
厚労省が示した調査案について検討した同日の中医協薬価専門部会で、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、医療用医薬品の不安定な供給状況や物価高などを踏まえ、「製薬業界、卸売業界からの丁寧なヒアリングを含め、幅広い観点からの検討が必要」と求めた。
有澤賢二委員(日本薬剤師会理事)は「中間年改定は薬局経営に非常に大きな影響を与えている。地域の医薬品供給体制の崩壊につながらないよう丁寧かつ慎重な議論に向けて準備してほしい」とした。
村井泰介専門委員(バイタルケーエスケー・ホールディングス社長)は、2年前とは流通現場の状況が異なるとして、「供給調整により卸も在庫のやりくりに奔走しているので、現場に特段の配慮をお願いしたい」と求めた。