中央社会保険医療協議会は5月31日、薬価専門部会を開き、薬価制度の抜本改革に向け、長期収載品の薬価のあり方をめぐり議論した。先発品と後発品の差額を患者負担とする参照価格制度、長期品の薬価を後発品まで引き下げる論点などが議論されたが、委員からは「新薬創出等加算、長期収載品、後発品の三つをセットで議論すべき」との意見が相次ぎ、初後発品の収載後5年といった長期品の特例引き下げ(Z2)の時期を見直すよう求める声も上がった。
長期品の薬価をめぐっては、後発品への置き換えが進まない初後発品の収載後5年が経過した既収載品の薬価を改定ごとに特例的に引き下げるルールがあるが、吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「5年の妥当性を見直す必要性がある」と問題意識を示した上で、「新薬創出等加算とセットで長期品の特例引き下げや後発品の初収載薬価も含め、総合的に検討すべき」との考えを示した。
幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も「長期品だけでなく、新薬、後発品の構造をどう変えていくかが論点。新薬創出等加算、後発品薬価のあり方と3点セットで議論して結論を出すべき」と同調した。
業界代表の加茂谷佳明専門委員(塩野義製薬上席執行役員)も「三つをセットで議論することに異論はない」と応じつつ、「基礎的医薬品もセットの議論に加えてもらい、古い医薬品の評価をどうするかも議論してほしい」と要望した。
一方、この日の部会では、参照価格制度と長期品の薬価の後発品への引き下げも検討したが、参照価格制度については、委員から「論外」「患者の負担増は反対」「そもそも理屈として正しいのか疑問」「日本の制度になじまない」などと反対論が大勢を占めた。