国際薬学連合(FIP)のカルメン・ぺーニャ会長は23日、都内で開かれた日本薬剤学会の公開市民講座で「これからの患者像に対応した21世紀の薬剤師」をテーマに講演した。

ペーニャ会長は、21世紀の社会に共通する問題として、人口の高齢化を挙げ、薬剤師が他の専門職種と協働して問題に対応する必要性を強調。具体的には、調剤した医薬品を供給するだけでなく、公衆衛生の推進、疾病予防、病院や薬局、患者宅での薬物療法の評価やモニタリングなどの専門的な薬学的サービスの提供が求められるとした。
国連の予測では、ヘルスケアサービスの世界的需要に応えるため、2030年までに4000万人の雇用を生み出す必要があるものの、中低所得国では1800万人の医療者が不足すると見込んでおり、WHOに保健医療労働と経済成長に関する高レベル委員会が設置されたことや、FIPもこの構想への貢献が求められていることを紹介。
FIPでは、▽教育を通した専門的能力の開発▽医療における薬局の影響力振興と維持――のための実行計画を策定し、薬剤師職能の刷新に取り組んでおり、この計画を個人、集団の各レベルで取り組むことによって主要な3本柱(臨床、科学、教育)の調和のとれた効果的な戦略を立てることができるとした。
こうしたFIPの戦略を遂行するためには、世界の薬局が国際的なネットワークを介して結ばれた状態にあることが必須になると指摘し、医療の専門家として一致団結する必要性を説いた。