医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 北大らの研究グループ 生きた細胞のナノレベルでの観察に成功

北大らの研究グループ 生きた細胞のナノレベルでの観察に成功

読了時間:約 1分13秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2014年01月16日 PM05:00

X線自由電子レーザー施設 SACLAを用いて

北海道大学、理化学研究所(理研)、高輝度光科学研究センター(JASRI)、東京薬科大学、共和化工株式会社環境微生物学研究所は1月7日、生きた細胞をナノレベルで観察することに成功したと発表した。この研究成果は、英オンライン科学雑誌「Nature Communications」に1月7日付で掲載されている。

(画像はプレスリリースより)

これは、北海道大学電子科学研究所の西野吉則教授、木村隆志助教、理研・放射光科学総合研究センターの別所義隆チームリーダー(現 客員研究員)、JASRIの城地保昌チームリーダーらによるもの。研究グループは、X線自由電子レーザー(XFEL)施設 SACLAを用いて観察を行った。

XFELの短い発光時間を利用

生きた細胞をナノレベルで観察することは、電子顕微鏡やX線顕微鏡を用いては照射によって細胞が死んでしまうため不可能だった。そこで研究グループは、10フェムト秒以下というXFELの発光時間を利用して、細胞が放射線によって損傷を受ける前の姿を捉えることに成功。コヒーレントX線回折という先端的手法で観察を行い、細胞内部のナノ構造が、高いコントラストで可視化したという。

プレスリリースでは、

本研究により、XFELが、自然な状態にある生物試料を観察できる優れた能力を持つことが示されました。今後、細胞生物学へのさらなる応用が期待できます。(北海道大学 プレスリリースより引用)

と述べられ、さらに分解能を向上させることで、医学上重要な応用への道も開かれるとされている。(小林 周)

▼外部リンク

北海道大学 プレスリリース
http://www.hokudai.ac.jp/news/140107_pr_es.pdf

Imaging live cell in micro-liquid enclosure by X-ray laser diffraction
http://www.nature.com/ncomms/2014/140107/

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • OTULIN関連自己炎症症候群の常染色体顕性遺伝形式発症を確認、世界初-横浜市大ほか
  • 膵がん、線維化形成に関与するタンパク質ROCK2を同定-岡山大ほか
  • EYS関連網膜色素変性に視細胞変性への光暴露が関与、ヒトiPS細胞で解明-理研ほか
  • NGLY1欠損症、オキシトシン治療でモデルマウスのけいれん様症状抑制-理研ほか
  • 汗孔角化症、FDFT1遺伝子のエピゲノム異常が発症に関わることを発見-神戸大ほか