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新日本科学 米企業とエピネフリン注射に代わる経鼻剤を開発

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2013年09月27日 PM10:13

新たなアナフィラキシー治療薬として期待

株式会社新日本科学と米G2B Pharma, Inc. (以下「G2B」)は9月19日、従来の注射剤に代わるエピネフリン経鼻剤を開発したと発表した。動物試験において、注射剤と同等の有効性が確認されており、食物アレルギーなどで引き起こされるアナフィラキシーの治療薬の新たなものとして、使用できる可能性があるという。

経鼻剤であるため、針がないので使用に痛みを伴わず、子どもを含む幅広い患者が安全に、安心して用いることができる点で、現在汎用されているエピネフリン注射よりも、メリットがあると目される。

(この画像はイメージです)

製剤最適化、ライセンス協議等を実施中

開発に成功したというエピネフリン経鼻剤は、新日本科学が独自開発し、国際特許を有している経鼻製剤基盤技術と、G2Bが有するエピネフリンの粘膜吸収改善処方とを組み合わせて生み出された。新日本科学の経鼻製剤基盤技術は、薬物の鼻粘膜からの吸収を著しく高める粉末の経鼻製剤処方で、さまざまな薬物への応用が可能な技術であり、これまでにも複数の臨床試験が実施され、その安全性と有効性が実証されている。

新日本科学とG2Bはすでに、ライセンス許諾に関わる条件概要に合意しているといい、現在は、G2Bが同剤の製剤最適化を進めているほか、並行してライセンス許諾契約書の締結に向け、両社で協議を進めている段階だという。

アナフィラキシーショックは、とくに食物アレルギーで誘発されたものに関して、近年深刻な社会問題となっている。国内では、エピネフリン注射が速やかに行われなかったことも要因となり、学童が亡くなってしまったケースも記憶に新しい。

経鼻剤という特徴により、緊急時使用の心理的負担を軽くすることができ、かつ注射に匹敵する速やかで高い吸収特性を示していることから、同剤は近い将来の新たなアナフィラキシー治療薬として、大いに期待されている。(紫音 裕)

▼外部リンク

株式会社新日本科学 プレスリリース
http://www.snbl.co.jp/pdf/ir/release130919.pdf

G2B Pharma, Inc.
http://g2bpharma.com/

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