医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 海外 > 新型コロナ、「犬の嗅覚」を利用した検査が既存法より効率的?-29の論文をレビュー

新型コロナ、「犬の嗅覚」を利用した検査が既存法より効率的?-29の論文をレビュー

読了時間:約 2分50秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年08月28日 PM01:30

犬は新型コロナウイルスのにおいをかぎ分けられる

犬は、医療機関でのRT-PCR検査や自宅で行う抗原検査などの現代のテクノロジーよりも迅速で的確、かつ安価に新型コロナウイルス感染を検出し得ることが、過去2年ほどの間に犬による新型コロナウイルス検出に関して相次いで報告された研究論文のレビューで明らかにされた。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校地理学名誉教授のTommy Dickey氏と米BioScent社のHeather Junqueira氏によるこの研究の詳細は、「Journal of Osteopathic Medicine」に7月17日掲載された。


画像提供HealthDay

Dickey氏らは、2019年12月から2023年4月の間に発表された、新型コロナウイルスのにおいをかぎ分ける訓練を受けた犬に関する29本の査読済み論文を体系的に収集して、その有用性や安全性、実用性に関する評価を行った。対象論文では、32カ国の400人以上の科学者が、147頭の犬の嗅覚による新型コロナウイルスの検出能力を、3万1,000点以上のにおいのサンプルや直接人間のにおいをかがせることで検討していた。なお、Dickey氏らは、2021年8月にも同じテーマでレビューを実施したが、その際の対象論文はわずか4本であったという。

全ての結果を統合して解析すると、犬の嗅覚を用いた新型コロナウイルス検査の感度は92.3%の論文で80%を超えており、32.0%の論文では特異度が97%を超えていた。また、84.0%の研究で特異度は90%以上だった。さらに、犬は、呼気、唾液、気管支分泌物、尿、マスク、衣類などから新型コロナウイルスを検出できること、訓練を積んだ犬であれば、症状が出る前の患者や無症状の患者の検出も可能であること、訓練を受けた経験のない新型コロナウイルスの新規変異株感染者や後遺症患者の検出も可能であること、新型コロナウイルス感染者と別の新しい呼吸器系ウイルス感染者とを区別する能力があることも示されていた。

犬がにおいで新型コロナウイルスを検出できるのは、嗅覚が高度に進化し、物理的にも神経的にも最適化されているからだとDickey氏らは説明する。におい分子をとらえる役割を果たしているのは嗅覚受容体であるが、その数は、人間で500万〜600万個であるのに対して犬では数億個に達するという。また、犬では、脳の3分の1が受け取ったにおい情報の分析に費やされているのに対し、人間では脳のわずか5%程度が費やされているに過ぎない。Dickey氏は、「犬は、10.5個分のオリンピックサイズのプールで1滴のにおい物質を検出することができる。この検出力は、科学的な機器よりも3桁ほど優れている」と話す。

Dickey氏は、「犬の嗅覚を利用した検査の方が、RT-PCR検査や迅速抗原検査などよりはるかに効率的だ。実際に、本研究で対象とされたある論文の著者は、『今や、新型コロナウイルス検査のゴールドスタンダードは犬であり、RT-PCR検査ではない』とコメントしているほどだ」と話す。

さらにDickey氏は、「犬の嗅覚による検査はとにかく速い。直接においをかいでから数秒のうちに感染の有無を教えてくれる」と付け加えている。検査の迅速性は、特にパンデミックの初期には重要であったことが想像される。結果を迅速に得ることができれば、その情報も迅速に共有され、疾患の蔓延を遅らせる上で有効になるからだ。

Dickey氏らによると、犬の嗅覚を利用したこのような検査に理想的な犬種は、ビーグル、バセット・ハウンド、クーンハウンドなどだという。しかし、今回のレビューからは、他の犬種でも、また、ミックス犬か純血種かや、雄犬か雌犬かに関わりなく、さらにはたとえ子犬でも、数週間の訓練により新型コロナウイルスのにおいをかぎ分けることは可能であることが示されたという。

Dickey氏とJunqueira氏は、「われわれの論文で紹介された、犬による新型コロナウイルス検出に関する研究は、国際的に見ても質が高く情報量も豊富であった。このことは、医療現場で医療用探知犬が、ついに主要な医療用用途に利用できるようになったことを示している」と結論付けている。(HealthDay News 2023年8月16日)

▼外部リンク
COVID-19 scent dog research highlights and synthesis during the pandemic of December 2019−April 2023

HealthDay
Copyright c 2023 HealthDay. All rights reserved.
※掲載記事の無断転用を禁じます。
Photo Credit: Adobe Stock
このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 海外

  • 3Dプリント技術で成功!ニューロンのコミュニケーションを観察可能な組織を作成
  • 抑うつに対し「体温調節」が新たな治療法となる可能性
  • アリストテレスが活躍した古代では、認知症はまれだった?
  • 認知症と診断された10人に1人は肝性脳症が原因の可能性-米研究
  • 「キムチ」摂取で肥満リスク低下?白菜・大根など素材別でも解析-韓国の研究