
■別枠900億円投入し基金
改定率は、医療費に占める技術料を勘案し、1(医科):1(歯科):0・3(調剤)とする原則は堅持した。0・73%プラスとなった本体部分のうち、調剤は0・22%(消費税対応分0・18%)、医科は0・82%(0・71%)、歯科は0・99%(0・87%)の引き上げ幅になった。
薬価と材料価格は、市場実勢価との乖離分などにより実質1・36%引き下げる。ただ、消費税対応分として0・73%(薬価0・64%、材料0・09%)引き上げるため、0・63%の引き下げとなる。
0・73%の本体引き上げには、医療費ベースで約3000億円必要になり、医科に2600億円、歯科300億円、調剤に200億円配分する。また、診療報酬全体で0・1%引き上げることにより、約140億円の公費がかかる。
また、閣僚折衝では、病床の機能分化・連携、在宅医療の推進、医療従事者の確保・養成に取り組むため、消費税増収分を活用して診療報酬とは別に900億円の公費を投入して基金を新たに設けることも決まった。
診療報酬の個別の点数配分については、年明けの中央社会保険医療協議会で審議していく。
■適切な対応ができた‐田村厚労相
田村厚生労働相は、麻生財務相との会談後、厚労省で記者団に対し、0・1%の全体プラスについて、「消費税引き上げにより国民負担が増加する中、保険料や患者負担の増加を極力避けつつ、適切な対応ができた」と語った。
また、診療報酬の枠外で基金を設けて医療の提供体制の改革を進めることについては、「消費税率が引き上げられる中、なるべく国民の負担に跳ね返らないようにするため」と説明。その上で「基金をいかに使い勝手の良いものにするかが残された課題」との考えを示した。
中医協の診療側委員を務める日本薬剤師会の三浦洋嗣副会長は、「まだ数字を精査、検討中だが、調剤については、相当厳しい数字だ。薬局はまだ経営が厳しいところがたくさんある。薬価も引き下げられており、(厳しい)状況は変わらない」とする一方で、「引き続き、薬局の薬剤師は、国民に対してきちんと服薬管理、医療安全の仕事ができるよう一層努力していかなければならないと思っている」とコメントした。
日本医師会は、「今回の診療報酬改定は社会保障の充実に充てられることになっていたが、未だ十分とは言えない」とした。
年明けの中医協で行われる配分の議論については、「高度急性期から在宅まで切れ目ない医療を推進するため、在宅医療の充実や、医療・介護の連携等、地域包括ケアシステムの中心を担うかかりつけ医への評価がきちんと行われなくてはならない」と指摘。さらに「的確な投薬管理・指導の推進や、大規模調剤薬局の調剤報酬の適正化を行っていく必要がある」とした。