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新型コロナ「複数回」感染者は死亡リスク2倍以上、入院リスクも3倍以上に上昇-米研究

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2022年11月24日 PM02:30

COVID-19の感染を繰り返すほど重症化や死亡のリスクが高まる

(COVID-19)の感染を繰り返すほど、発症時に重症化しやすくなり、死亡リスクも上昇することを示すデータが報告された。米ワシントン大学のZiyad Al-Aly氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Medicine」に11月10日掲載された。感染回数が1回の人に比べて複数回感染した人では死亡リスクが2倍以上になり、入院リスクは3倍以上に上昇するという。


画像提供HealthDay

パンデミック発生から3年近くになり、既に複数回、COVID-19に罹患した人が増加している。COVID-19に一度かかると免疫力が高まり、感染リスクや発症時の重症化リスクが低下するのではないかと期待する考え方もあるが、実態はよく分かっていない。Al-Aly氏らはこの点について、米国退役軍人省の医療データを用いた解析により検討した。

2020年3月1日~2022年4月6日の同省の医療データで、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陽性の記録のある人は51万9,767人だった。そのうち90日後に生存していたのは48万9,779人であり、4万947人に再感染の記録があった。複数回感染した人のうち、3万7,997人(92.8%)は2回、2,572人(6.3%)は3回、378人(0.9%)は4回感染していて、5回以上感染した人はいなかった。1回目と2回目の感染の間隔は中央値191日(四分位範囲127~330)、2回目と3回目の間隔は同158日(115~228)だった。

本研究では、この複数回感染の記録のある4万947人と、1回のみの44万3,588人、およびSARS-CoV-2陽性記録がなく他疾患で受療していた533万4,729人の対照群とで、SARS-CoV-2感染や重症化のリスクを比較した。解析に際しては、年齢や性別、人種、BMI、血圧、喫煙習慣、併存・既往疾患、他疾患の治療でのステロイド使用、地理的剥奪指標、初回COVID-19罹患時の重症度などを調整した。

2022年6月25日まで追跡して解析した結果、SARS-CoV-2感染が1回だった人に比べて2回以上感染した人は、追跡期間中の全死亡リスクは2.17倍高く〔ハザード比(HR)2.17(95%信頼区間1.93~2.45)〕、入院リスクは3.32倍高いこと〔HR3.32(同3.13~3.51)〕が明らかになった。また、腎疾患はHR3.55、肺疾患はHR3.54、血液凝固異常はHR3.10、心血管疾患はHR3.02であり、そのほかにも糖尿病、消化器疾患、筋骨格系疾患、神経学的疾患、倦怠感、何らかの後遺症およびメンタルヘルスへの有意な影響が認められた。

また、追跡調査開始から6カ月後の1,000人当たりの全死亡や入院の過剰負担(その疾患に罹患していない人との差)は、SARS-CoV-2感染が1回の群では全死亡が16.77、入院が46.82であるのに対して、複数回感染した群では同順に36.10、147.02であり、有意に高かった。また、COVID-19感染の回数が多いほど、過剰負担が増えることも示された。なお、SARS-CoV-2陰性群では19.33、100.19だった。

この結果についてAl-Aly氏は、「これは、たとえSARS-CoV-2に2回感染したとしても、3回目は避ける方が良く、3回感染したら4回目を避けるべきであることを意味している。COVID-19の既往がありワクチンのブースター接種を受けた人の間に見られることのある、さも無敵であるかのような考え方を突き崩すデータと言える」と述べている。そして、「COVID-19に一度かかったことのある人は、再感染を防ぎ健康を守るために、あらゆる可能な予防策を講じる必要がある」と注意を喚起。また、今年の冬に健康を守るための具体的な対策として同氏は、「マスクを着用し、ワクチンのブースター接種を全て受け、かつ、インフルエンザのワクチン接種も受けるべきだ」とアドバイスしている。(HealthDay News 2022年11月14日)

▼外部リンク
Acute and postacute sequelae associated with SARS-CoV-2 reinfection

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