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遠隔・オンライン診療の診断精度は、患者が高齢になるほど一致率が低下?

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2022年09月20日 PM03:00

遠隔診療での診断結果の大半が対面診療と一致

新型コロナウイルス感染症()パンデミックにより、遠隔診療の比重が高まる中、人々を安心させる研究結果が報告された。遠隔診療の診断精度は低いものではないという。米メイヨー・クリニック、デジタルヘルスセンターのBart Demaerschalk氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に9月2日掲載された。


画像提供HealthDay

この研究では、遠隔診療での診断結果が、その後の対面診療での診断結果と87%の症例で一致することが分かった。ただし、当然のことながら診断の精度は病状によって異なり、血液検査や画像検査なしでは診断の困難な疾患は診断精度が低く、また皮膚科や耳鼻咽喉科の疾患は、対面診療でなければ診断できないケースが多かった。反対に、患者との会話が診断に大きなウエートを占めるメンタルヘルス関連の疾患は遠隔診療が非常に効果的であり、96%の確率で対面診療での診断と一致した。Demaerschalk氏は、「この結果は、患者と医療従事者の双方を安心させるはずだ。その一方で対面診療への依存度が高い疾患については、遠隔診療後、迅速に対面診療を行う必要があることも示された」と述べている。

疾患の診断精度向上を目的とする非営利団体(Society to Improve Diagnosis in Medicine)の理事であるDouglas Salvador氏は、この研究の意義を認めた上で、「ヘルスケアシステムの中で遠隔診療をどのように位置付けることが最適な方法かは、まだ答えが得られていない」と話す。同氏は、「今回の研究結果は、遠隔診療には一定程度の精度があることを示しており、人々に安心感を与えるものではあるが、継続的な研究が求められる」と指摘。また、「このような研究は、遠隔診療をいつ、どのような場面で用いるのが最善の方法なのかを理解するための助けとなる」としている。なお、Salvador氏は本研究に関与していない。

Demaerschalk氏らの研究は、COVID-19パンデミック初期に当たり、遠隔診療が急速に広がっていた2020年3~6月に、メイヨー・クリニック関連医療機関で実施された。この間に遠隔診療が9万7,589回実施され、そのうち7,781回は初診として実施されていた。遠隔診療から90日以内に、初診時と同じ症状のために対面診療が行われていた2,393人〔年齢中央値53歳(四分位範囲37~64)、成人98.5%、男性42.3%〕について、遠隔診療での暫定的な診断と対面診療での診断の一致率を検討した。

2,393人のうち2,080人は、遠隔診療と対面診療での診断が一致していた〔86.9%(95%信頼区間85.6~88.3)〕。国際疾病分類(ICD-10)別に見ると、「耳及び乳様突起の疾患」の64.7%(同42.0~87.4%)から、「新生物」の96.8%(94.7~98.8%)の範囲に分布していた(ほかに少数の妊娠やCOVID-19症例があり一致率はともに100%)。診療領域別では耳鼻咽喉科の77.3%(64.9~89.7)から、精神科の96.0%(92.1~99.8)の範囲に分布していた。

また、専門医はプライマリケア医より診断の一致率が有意に高かった〔オッズ比1.69(1.24~2.30)〕。この点については、Demaerschalk氏とSalvador氏はともに、「予想されたことである」としている。とは言え、プライマリケア医による遠隔診療の暫定診断も、大半(81.3%)は正確なものだった。

この研究はパンデミック初期に行われたが、パンデミックが始まって既に2年以上が経過したことから、Salvador氏は「現在の遠隔診療での診断はさらに正確になっている可能性がある」としている。また同氏は、現在の遠隔診療は主として、対面診療が必要な患者を選別する「トリアージ」という側面が強いと解説する。

今回の研究では、全体的に遠隔診療の有用性が強調される結果が得られたが、問題点も浮かび上がった。前記のように、特定の診療科の疾患で一致率が低いことに加え、患者の年齢により診断精度が変化することが分かった。具体的には、患者が10歳高齢であるごとに、診断一致率が9%有意に低下していた。その理由としてDemaerschalk氏は、「高齢者は通信環境の設定などの問題の解決が難しいことが多く、視覚・聴覚機能の低下も影響を及ぼしているのではないか」と考察している。

遠隔診療の今後について、Demaerschalk氏とSalvador氏は、「対面との併用によるハイブリットでの診療システムとして、改良し続ける必要がある」と述べている。(HealthDay News 2022年9月7日)

▼外部リンク
Assessment of Clinician Diagnostic Concordance With Video Telemedicine in the Integrated Multispecialty Practice at Mayo Clinic During the Beginning of COVID-19 Pandemic From March to June 2020

HealthDay
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