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難治性リンパ管疾患治療でシロリムス、改訂診療GLで第一選択薬となるか

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2021年12月24日 PM01:00

病変縮小率が86.2%に上る例も

血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン(GL)について、岐阜大学大学院医学系研究科の小関道夫氏(小児科学)は10月26日、「現在改訂作業を進めており、2022年度中の発刊を目指している」と明らかにし、改訂版診療GLでは「シロリムスが第一選択になるだろう」との考えを示した。製薬会社のノーベルファーマが開催したセミナーで発言した。

難治性リンパ管疾患ではこれまで対症療法が主で、有効性・安全性の高い治療法の確立が求められていた。そのような状況の中、mTOR阻害薬のシロリムス(商品名:)は2021年9月、難治性リンパ管疾患に対する適応追加が承認された。小関氏はシロリムス承認の根拠の1つとなった多施設共同第3相医師主導治験(SILA study)1)の結果について、「11例中7例で病変縮小率が20%以上と有効だった」と説明。縮小率が86.2%に上る例もあったとした。小関氏は「有効な縮小率が得られる症例では、投与開始後、早期の段階から治療効果が認められている」と指摘した。具体的には投与から12週ですでに有効性が認められていた。

有害事象の発現率は100%で、口内炎(9例、81.8%)、ざ瘡様皮膚炎(8例、72.7%)、下痢および発熱(各6例、54.5%)が多かった。重篤な有害事象は、感染(肺炎1例、皮膚感染1例)、急性肝炎が1例。死亡例はなかった。小関氏はシロリムスについて、「経過をみながら慎重に投与する必要はあるが、従来の治療に比べて有効性が高く、安全性も問題ないと考えている」との見解を提示。「従来治療として行っていた手術や硬化療法は侵襲性が高いが、内服薬であるシロリムスは侵襲性が低く、患者のQOL向上につながる」と指摘した。

最近の難治性リンパ管疾患の診療については、「海外の文献や教科書などでは、シロリムスを第一選択薬に近い使用をするよう記載されている」と紹介。「現在改訂作業を進めている国内の血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療GLでも第一選択の治療法となるだろうと予想している」と述べた。GLは2022年度中の発刊を目指しているという。

併用療法や治療戦略の検討が課題

同日のセミナーでは、国立成育医療研究センターの藤野明浩氏(小児外科系専門診療部小児外科)も講演した。藤野氏は、「腫瘍と考えられてきたものが形成異常であるとわかってきたなど近年急速に疾患の理解が深まり、病名の修正・整理が行われてきた」と述べ、リンパ管腫の病名がリンパ管奇形へと移行してきていることを説明。血管腫・脈管奇形の国際学会であるISSVA(International Society for the Study of Vascular Anomalies)が提唱するISSVA分類が浸透しつつあることを紹介した。

藤野氏はまた、「難治性リンパ管疾患は悪性疾患ではないため、必ずしも完治を目指さなくてもよい」と前置きした上で、「整容性の問題や呼吸が難しいといった機能的な問題、日常生活に支障を与える痛みなど症状の問題がある場合は治療を選択する理由になる」とした。

難治性リンパ管疾患の治療は、病変の中に針を刺し、薬剤を注入する治療法である硬化療法や外科的切除、内科的治療を組み合わせて行ってきた。新薬の登場を踏まえ藤野氏は、「併用療法や治療戦略の検討が課題だ」との考えを示した。

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