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次世代型ECMO「BR13030」、重症呼吸不全・心不全への補助循環法で治験開始-国循ほか

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2020年04月14日 PM12:00

新型コロナ感染症()などによる重症呼吸不全への治療手段としても期待

国立循環器病研究センターは4月10日、小型・軽量で、長期間使用可能な次世代型人工心肺システム「BR13030」を世界に先駆けて開発し、BR13030を用いた重症呼吸不全・心不全患者に対する補助循環(NCVC-_01)のfirst in human試験を医師主導治験として、国循、大阪大学医学部附属病院、関西医科大学総合医療センターの3施設で始めたと発表した。この研究は、同研究センター移植医療部の福嶌敎偉部長とオープンイノベーションセンターの巽英介副センター長らの研究グループによるものだ。


画像はリリースより

人工心肺システム(ECMO)は、人工呼吸器や昇圧剤使用など従来の治療法では救命困難な重症呼吸・循環不全の症例に用いられる。元々、心臓外科手術に用いられる人工心肺装置から発展したECMOの臨床応用は、近年では救命救急領域や集中治療領域にまで広がりを見せ、その有用性は高まりつつある。

主に循環のサポートを目的とする「VA-ECMO」(静脈脱血-動脈送血 ECMO)は、従来の薬物療法、外科的療法、不整脈治療や機械的補助循環法では十分な効果が得られない重症心不全、心原性ショックの患者に対して適応があり、循環不全に呼吸不全が合併する場合にも応用できる。代表的な疾患には、各種心疾患(心筋症、二次性心筋症、虚血性心筋症、心筋炎)による低心拍出量症候群、急性心筋梗塞後心原性循環不全、体外循環離脱困難症などがあり、国内外のECMO使用例の90%はVA-ECMOだ。

呼吸だけのサポートを目的とする「VV-ECMO」は、可逆性急性呼吸不全に対する患者において適応があり、従来の人工呼吸管理では生命が維持できない場合、またはそれを続けることによって肺に不可逆的な傷害を与える可能性がある場合に使用を考慮する。代表的な疾患は、重症ウイルス性・細菌性肺炎、(Acute respiratory distress syndrome:ARDS)、肺移植へのブリッジ、移植肺機能不全(再灌流障害)、肺障害に起因する体外循環離脱困難症、喘息重積発作など。現在、アウトブレイクしている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や、これまでにアウトブレイクが報告されているSARS、MARS、H5N1鳥インフルエンザなどによる重症呼吸不全の有効な治療手段となることも期待されている。

しかし、現在汎用されている装置は大きくて複雑なため、緊急対応には不向きで、重症患者の救急搬送時など院外での使用も難しい状況だ。また、抗血栓性や耐久性も不十分なため血栓塞栓症や出血合併症のリスクが高く、長期使用も困難で、現在、薬機法上承認されている使用期間は6時間以内に限られている。このため、院内・院外を問わず、装着が容易で安全に長期間使用可能なECMOシステムの開発が望まれている。

高い緊急対応性・携帯性・抗血栓性・耐久性を実現したBR13030

国循人工臓器部では、1986年より抗血栓性と長期耐久性に優れたECMOシステムの開発を目指して研究を続けてきた。今回開発した装置「BR13030」では、これまで人工臓器部が実用化してきたさまざまな先端技術を取り入れることで、高い緊急対応性・携帯性・抗血栓性・耐久性を実現したという。

同装置は、小型(29×20×26cm)・軽量(6.6kg)で、簡単に持ち運びができる。緊急対応性を実現するために、専用回路ユニットを多機能集積型の超小型駆動装置に装填して即座に使用できるシステムとなっており、4分以内の迅速な起動が可能(易装着性)。また、電源や酸素供給のない場所でも、内臓バッテリと脱着型酸素ボンベユニットにより1時間の連続使用ができる。このため、救急車での搬送中など院外の緊急装着にも対応可能だ。

さらに、同装置には国循人工臓器部が過去に開発した抗血栓技術が用いられており、抗凝固療法を最小限に抑えられる(安全性)。このため、血栓性および出血性合併症を防いで安全性を高めることができるという。長期耐久性についても、同装置を用いた長期動物実験で装着後2週間(4例)および4週間(3例)の連続心肺補助を行ったところ、全例において予定期間を問題なく完遂することができたとしている。

症例登録期間は2020年2月10日~2022年3月31日

今回開始するBR13030を用いた治験は、従来の治療法では救命が困難な重症呼吸不全・心不全の患者を対象に、最長14日間同じ回路で呼吸・循環補助を行うことで、救命率向上を確認するために実施。対象症例数はVA-ECMOとVV-ECMOの合計25例(解析対象として23例)とし、うち、14日使用2例以上、VV-ECMO使用3例以上の実施を目標としている。症例登録期間は、2020年2月10日~2022年3月31日(約2年間)。

研究グループは、今回の治験によりBR13030の効果を確認できれば、重篤な患者の救命に寄与する医療機器となることが期待されるとし、早期の薬事承認を目指す、と述べている。(QLifePro編集部)

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