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週1回投与の皮下注製剤誕生。中外創製のバイスペシフィック抗体製剤が血友病治療を変える

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2018年06月05日 PM02:00

2つの凝固因子に結合し血液凝固第VIII因子の機能を代替

血友病A治療薬の「(R)」を5月22日に発売した中外製薬株式会社は、6月1日、都内で投資家・アナリストと報道関係者を集めた説明会を開催した。ヘムライブラは、同社にとって初となる血友病の治療薬。二重特異性(バイスペシフィック)抗体製剤で、活性型血液凝固第IX因子(FIXa)と血液凝固第X因子(FX)の双方に結合し、リン脂質膜上でこれら双方の位置関係を適切に保持することで、FVIIIaの補因子機能を代替し、血液凝固反応を促進すると考えられている。同社富士御殿場研究所が創製し、米国では2017年2月に承認、2018年2月に欧州で、同年3月には日本でも承認された。

血友病Aの治療は、欠乏しているFVIIIを補うために定期的に血液凝固因子製剤を補充する定期補充療法が中心だ。隔日または週3回、血液凝固因子製剤を静脈内投与する。2017年の調査では、重症血友病A患者の83%が定期補充療法を実施している1)。重篤な出血だけでなく、関節出血も予防し、出血回数を減らす治療法だが、頻回な静脈注射の負担などからFVIIIの活性の維持が難しく、投与直前には重症に分類される1%未満まで低下することや、製剤中のFVIIIやFXIに対する抗体()の産生が課題となっていた。

ヘムライブラは、週1回の皮下投与製剤。投与頻度が従来製剤より少ないだけでなく、皮下投与であることから、患者自身や患者家族による自己注射へも移行しやすいと期待されている。

インヒビター非保有者への適応拡大も申請中


奈良県立医科大学 小児科学教室 教授
嶋緑倫氏

今回承認されたヘムライブラの適応は、FVIIIに対するインヒビターを保有する血友病A患者に対する出血傾向の抑制だが、インヒビター非保有者への適応拡大についてもすでに申請済みだ。さらに、インヒビター保有者については、投与間隔の延長に関する適応拡大も申請している。同剤の開発に早くから関わってきた奈良県立医科大学小児科学教室教授の嶋緑倫氏は、「インヒビター保有者のほとんど、インヒビター非保有者でも、少なく見積もっても4割くらいは、ヘムライブラにスイッチするのではないか」と予想する。

同説明会でも講演した嶋氏は、「ヘムライブラは、血中のFVIII活性のトラフ濃度を15%程度に維持できる。かなりの運動量に耐えられるレベルだ」とし、診断後早期に同剤の定期投与を開始することで、出血ゼロ、関節障害ゼロで、FVIIIインヒビターを誘導しない治療が可能になると期待をのぞかせた。実際に治験で同剤を投与した患者からは、入浴中や睡眠中の出血に対する不安がなくなったという声もあったという。

治験における重篤な有害事象として、バイパス止血製剤を使用していた患者で血栓性微小血管症(TMA)・血栓性事象がみられたことから、バイパス止血製剤の使用はヘムライブラ投与開始前に中止し、ヘムライブラの投与を中止した後6か月間もバイパス止血製剤は使用できない。また、ヘムライブラの導入は投与開始4回目までは専門施設で行うなど、同社は適正使用を推進するべく取り組んで行くという。

1)厚生労働省委託事業:血液凝固異常症全国調査 平成29年度報告書

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