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電解水を用いた透析システムで透析合併症を抑制-東北大

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2017年09月20日 PM12:15

電解水が生体内で酸化ストレスを抑えることに注目

東北大学は9月15日、「電解水」を用いて慢性透析患者における透析治療の副作用を改善する新規の透析システムを開発したと発表した。これは、同大大学院医学系研究科附属創成応用医学研究センターの中山昌明特任教授のグループが、株式会社日本トリムと共同で行ったもの。研究成果は、「PLOS ONE」に掲載されている。


画像はリリースより

現在、血液透析の副作用である透析合併症を完全に抑えることは難しく、患者の就業率やQOL低下が問題となっている。この透析合併症の原因には透析中に生じる生体内の酸化ストレスと炎症が関わっていると考えられているが、これらの要因を安全に抑える手段はなく、透析合併症を抑える新たな治療法の開発が求められている。

東北大学と日本トリムは、水の電気分解によって生成される水素分子を含む水(電解水)が生体内で酸化ストレスを抑えることに注目。この水の透析治療への応用を目指して2006年から共同研究を実施し、2011年からは臨床試験も行っている。今回の発表は、その中間データを報告したものだ。

DDDおよび強い疲労感や掻痒感を抑制

評価の対象は、全国7施設で行われた同試験に参加した透析患者327例のうち、研究開始後から12か月間でとくに死亡、重篤な心血管病などのイベントを発症することなく安定して治療を継続した262名。140名に電解水透析による治療を行い、122名には通常透析による治療を行った。これらの患者において、身体所見および各種臨床検査、服薬歴、患者の自覚症状(疲労感、掻痒感)に関するアンケートなどのデータを比較解析した。

その結果、透析自体の臨床的効果・安全性に違いは見られなかったが、必要な1日当たりの降圧薬の投与量()、透析後の副作用としての重度な疲労やかゆみ症状で違いが見られ、電解水透析を受けた患者で副作用が改善されていた。統計学的な解析においても、電解水透析がDDD、および強い疲労感や掻痒感に対する抑制因子となることが示されたという。

研究グループは、「従来の血液透析療法が抱える未可決課題に対して電解水透析が新たな解決手段となる可能性が示されたと考えられる」と述べている。

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