医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > がん分子標的薬の効果を投薬前に高精度で診断する蛍光染色法を開発-東北大

がん分子標的薬の効果を投薬前に高精度で診断する蛍光染色法を開発-東北大

読了時間:約 1分13秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年08月17日 PM01:30

タンパク質の量を、感度・精度良く定量的に検査

東北大学は8月7日、コニカミノルタ株式会社と共同で、がんの診断や治療の標的となるタンパク質の量を、感度・精度良く定量的に検査する方法の開発に成功したと発表した。


画像はリリースより

この研究は、同大大学院医学系研究科の権田幸祐教授、大内憲明名誉教授、渡辺みか准教授、石田孝宣教授、亀井尚教授の研究グループによるもの。研究成果は「Scientific Reports」に掲載されている。

現在、免疫組織化学法として発色の濃さでタンパク質の量を定量するDAB染色法が主流だが、この方法はタンパク量の定量性に問題があり、免疫組織化学法の定量性が低いとがんの診断精度が悪くなるため、定量性が高い検出方法の開発が大きな課題となっている。この課題を解決する方法として、蛍光色素を使った組織診断法が開発されてきたが、組織は強い自家蛍光を発するため、蛍光免疫染色法にも限界があった。

従来の方法に比べ300倍以上の検査感度

権田教授らは、蛍光免疫染色法の課題を解決するため、市販されている蛍光ナノ粒子と独自の光学装置および画像解析を組み合わせた「蛍光ナノ粒子の1粒子イメージング法」による組織診断法を2015年に開発。今回、研究グループは、この診断法と、コニカミノルタ社の材料合成技術を融合した新しい蛍光染色法を開発した。この診断方法をがん組織のがんに関連するタンパク質の検出に適用した結果、従来の方法に比べ300倍以上の検出感度で目的タンパク質の量を正確に測定することに成功。さらに、同方法を実際に乳がん患者のがん組織診断に応用した結果、薬物療法の効果を治療前に精度よく診断予測することにも成功したという。

今回の研究で得られた方法により、がん分子標的薬の効果を定量的に予測することができ、患者に適した抗がん剤を選択する指標となり得ることから、将来の精密医療(プレシジョン・メディシン)への貢献が期待される、と研究グループは述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 脊髄損傷、HGF遺伝子発現制御による神経再生の仕組みを解明-藤田医科大ほか
  • 抗がん剤耐性の大腸がんにTEAD/TNF阻害剤が有効な可能性-東京医歯大ほか
  • 養育者の食事リテラシーが低いほど、子は朝食抜きの傾向-成育医療センターほか
  • 急速進行性糸球体腎炎による透析導入率、70歳以上で上昇傾向-新潟大
  • 大腿骨頭壊死症、骨粗しょう症薬が新規治療薬になる可能性-名大