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サイトメガロウイルスワクチンの第2相試験で有意差認められず-アステラス

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2016年09月23日 AM11:30

腎臓移植患者に対して、初回接種後1年間の発現率を検証

アステラス製薬株式会社は9月20日、米国の医薬品会社Vical Incorporatedと共同で開発しているサイトメガロウイルスワクチン(開発コード:)の欧州、米国、オーストラリアで実施している腎臓移植患者を対象とした第2相試験において、主要評価項目であるASP0113の初回接種後1年間におけるサイトメガロウイルス血症の発現率で、プラセボ群に対する有意差が認められなかったと発表した。

サイトメガロウイルスは、ヘルペスウイルス科に属するウイルス。健康人では通常、免疫が正常に働いているため大きな問題にならないが、免疫が十分に機能していない人は、サイトメガロウイルスの再活性化のリスクが高く、重度の感染症を引き起こす可能性があり、最悪の場合、死に至るケースもある。特に、造血細胞移植患者や臓器移植患者、妊娠中に初回感染した母親から生まれた新生児では、リスクが非常に高くなると言われている。

ASP0113は、臓器移植患者および造血細胞移植患者においてサイトメガロウイルス感染症およびそれに伴う合併症を抑制するためにデザインされた開発中の二価DNAワクチン。この二価DNAワクチンは、細胞性および体液性免疫応答を誘導するために、サイトメガロウイルスのテグメントリンタンパク質65および糖タンパク質B抗原をコードするもので、ポロキサマーCRL1005をベースとした独自の送達システムとともに製剤化される。アステラス製薬は2011年7月に、ASP0113の全世界における開発・商業化に関する独占的ライセンス契約をVical社と締結し、現在、アステラス製薬が主導して開発を進めている。

造血細胞移植患者を対象に第3相試験を進行中

今回の試験では、中央検査機関で測定したウイルス量が1,000IU/ml以上をサイトメガロウイルス血症の発現と定義。腎臓移植患者にASP0113の初回接種後1年間におけるサイトメガロウイルス血症の発現率をプラセボ群と比較して検証したが、両群間で有意差が認められなかった。また、副次的評価項目であるサイトメガロウイルス関連疾患の発現率およびサイトメガロウイルス感染治療のための抗ウイルス療法の使用率も、プラセボ群と比較して有意差が認められなかった。この試験の詳細なデータは、今後の学会発表で開示する予定としている。

なお、ASP0113は米国および欧州で、臓器移植患者および造血細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染抑制の治療薬として、)の指定を受けている。造血細胞移植患者を対象としたASP0113の第3相試験は、サイトメガロウイルスワクチンとしても、DNAワクチンとしても初めての第3相試験であり、現在進行中。

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