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舌下免疫療法の仕組みを解明、アレルギー治療へのさらなる応用に期待-東北大

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2016年05月16日 PM02:00

アレルギー疾患の根本的な治療法として注目される舌下免疫療法

東北大学は5月12日、花粉症などアレルギー疾患の根本的な治療法として注目される舌下免疫療法の仕組みを明らかにする研究結果を発表した。この研究は、同大大学院歯学研究科口腔分子制御学分野の菅原俊二教授と、日本学術振興会特別研究員の田中志典博士ら研究グループによるもの。研究成果は、国際粘膜免疫学会学術誌「Mucosal Immunology」電子版に5月11日付けで掲載されている。


画像はリリースより

舌下免疫療法は、舌の下の粘膜からアレルギーの原因物質(抗原)を吸収させ、症状の改善を図るアレルギー治療法。抗ヒスタミン薬などによる対症療法と異なり、体質を改善することによる根本的な治療法とされている。

口腔粘膜は常在菌や食べ物に常にさらされているが、これらに対するアレルギーや炎症反応は通常起こらない。この現象を利用して考案されたのが舌下免疫療法であるが、詳しい仕組みは未解明だった。

口腔樹状細胞の関与を発見、舌下免疫療法の効果を増強する働きも

研究グループは、実験マウスの舌下に抗原を入れると、所属リンパ節である顎下リンパ節で制御性T細胞が誘導されることを発見。そこで、口腔粘膜の抗原提示細胞に着目し精査したところ、口腔粘膜の抗原提示細胞は、マクロファージ、樹状細胞およびランゲルハンス細胞に分類され、この中で樹状細胞がレチノイン酸とTGF-β依存性に制御性T細胞を誘導する能力をもつことを見出したという。

さらに、舌下に入れた抗原の行方を追跡。まず口腔粘膜のマクロファージが抗原を取り込み、次いで樹状細胞が抗原を顎下リンパ節に運搬。そこで抗原提示を行い、制御性T細胞を誘導することが判明した。この樹状細胞の機能を高めることにより、舌下免疫療法の効果を増強できる可能性があるとしている。

また、舌下免疫療法は、花粉症などのアレルギー性鼻炎や喘息に有効であることが示されていたが、舌下免疫療法により制御性T細胞が誘導されるのであれば、他のアレルギー疾患の抑制にも有効である可能性があるとして、研究グループはその点についても検討。その結果、舌下免疫療法が遅延型アレルギーの抑制にも有効であることが判明。さらに、舌下免疫療法を施したマウスの顎下リンパ節から制御性T細胞を取り出し、舌下免疫療法を行っていない別のマウスに移入すると、遅延型アレルギーの発症が抑制されることが分かったという。

これらの実験により、舌下免疫療法によって顎下リンパ節に誘導された制御性T細胞が実際にアレルギーを抑制する機能をもつことが証明された。この研究成果は、舌下免疫療法を有効かつ強力にするための重要な基礎研究であり、今後はアレルギー治療への応用が期待される、と研究グループは述べている。

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