露・ヨーロッパ医療センターなどに納入予定

株式会社日立製作所は2013年12月26日、ロシアのヨーロッパ医療センター（GEMC）と、モスクワ第63病院に向け、陽子線がん治療装置一式の納入に関する独占交渉権を獲得し、覚書に調印したと発表した。

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20年にわたり陽子線がん治療システムを開発

近年、新しいがん治療法として、陽子や炭素などを高速に加速した粒子線を腫瘍に照射する治療が注目されている。ロシアのがん患者数は日本や欧米諸国並みに高く、がん治療設備として多くの医療機関で粒子線がん治療装置の新設が計画されている。

粒子線がん治療は、粒子を加速器で高速に加速し、がん細胞に集中して照射することでがんを治療するものである。治療に伴う痛みがほとんどなく、治療と社会生活の両立が可能であるとされる。そのため、生活の質を維持してがんを治療できる先端的な治療法とされている。

同社は、約20年前から陽子線がん治療システムの開発を進めてきた。これまで、国内では筑波大学、名古屋陽子線センター、海外では米国のM.D.アンダーソンがんセンターに納入している。さらに現在は、北海道大学や米国の３つの病院で粒子線がん治療装置の建設を進めているという。

2014年3月末の正式受注契約に向け交渉

GEMCは、モスクワで20年以上の歴史を持つロシア最大級の民間医療サービス企業。日立は2013年4月に、GEMCおよびブドケル核物理学研究所と、ロシアにおける粒子線がん治療装置の建設を推進するための、戦略的な協力関係を構築することに合意している。

今回の覚書はその内容に基づいた、初めての具体的なプロジェクトとなる。まずは、建屋設計に必要な技術図書などの提供を通じて建設に協力する。そして2014年3月末に、正式な受注契約に向けた交渉を独占的に行っていく予定としている。（たなか牡丹）

▼外部リンク
株式会社日立製作所　ニュースリリース
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