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理化学研究所 国際共同研究でアトピー性皮膚炎関連4ゲノム領域発見

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2013年06月12日 PM07:13

アトピー性皮膚炎治療に光

2013年6月11日-理化学研究所は、アトピー性皮膚炎発症に関連する4つのゲノム領域4q27、11p13、16p13.13、17q21.32を発見したと発表した。

欧州研究チーム、理研統合生命医科学研究センター久保充明副センター長、呼吸器・アレルギー疾患研究チーム玉利真由美チームリーダー、広田朝光研究員を含む国際共同研究グループの研究成果である。

(Wikiメディアより引用)

発見されたゲノム領域について

【4q27】
IL2、IL21遺伝子を含む。IL-2は、さまざまな免疫細胞の活性化や調節性T細胞の維持に重要。マウス実験で、IgE産生及び気道アレルギー炎症に関与することが報告されている。

【11p13】
PRR5L、TRAF6、RAG1、RAG2遺伝子に関わる領域。TRAF6は、自然免疫と獲得免疫を制御するタンパク質。RAG1、RAG2は抗体遺伝子の再構成にあたって重要な働きをする。

【16p13.13】
CLEC16A、DEXI、SOCS1遺伝子に関わる領域。免疫細胞の活性化に関与する。また、免疫反応に必要な情報伝達物質であるサイトカインの負の制御因子として重要な働きをする。

【17q21.32】
ZNF652、NGFR遺伝子に関わる領域。NGFRは、知覚神経の表皮への伸長を促進する神経成長因子(NGF)の受容体。動物実験で、かゆみとNGFとの関連が報告されている。

研究の背景

過去の国際的解析により、すでに15か所の疾患関連領域が特定されている。

近年、イムノチップ解析手法が開発され、免疫関連遺伝子領域を中心に遺伝子の多型を解析できるようになった。

高密度アレイを用いた手法により、免疫関連遺伝子に分布する一塩基多型を数多く解析。さまざまな疾患の関連領域が発見されている。

研究手法について

新たに発見した4つの関連ゲノム領域に対し、日本人のアトピー性皮膚炎患者2397人非患者7937人、中国人アトピー性皮膚炎患者2848人、非患者2944人に分けて改めて解析。結果の再現性の確認を行った。

その結果、日本人は11p13、16p13.13、17q21.32の3ゲノム領域、中国人は2ゲノム領域16p13.13、17q21.32が関連することが確認されている。

研究に使用され日本人用DNA試料は、共同研究機関と文部科学省の委託事業「オーダーメイド医療実現化プロジェクト(個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクト)」から協力を受けたもの。

完治が難しい症例の解明治療法確立が急務

日本人のアトピー性皮膚炎には、11p13、16p13.13、17q21.32が関連するという。この研究結果が、今後の臨床研究にあたっての仮説立案及び治療法絞り込みに役立つと期待されている。今回の研究結果が今後の治療法に役に立つものと推測される。

昨今は専門家による治療ガイドラインが普及。症状をコントロールできるようになったが、完治が難しい症例が問題として残っている。解明と治療法の確立が急務である。

本研究成果は、科学雑誌「Nature Genetics」に先立ち、オンライン版(6月2日付け)に掲載されている。(貝塚 久美子)

▼外部リンク

アトピー性皮膚炎の発症に関わる4つのゲノム領域を新たに発見-3つの領域で日本人のアトピー性皮膚炎の発症との関連を確認-
http://www.riken.jp/pr/press/2013/20130611_2/


http://www.jtbcorp.jp/

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