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2013年WINシンポジウムでがん個別化治療の有望性と課題について討議

2013年07月25日 PM02:10
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パリ

(ビジネスワイヤ) — 世界各国から代表者400人が7月10~12日にパリで開催された第5回WINシンポジウムに参加しました。今年の全体的テーマは「がん個別化治療:イノベーションから実践へ(Personalized Cancer Medicine: From Innovation to Implementation)」でした。30人の専門家が学界や製薬・診断・バイオインフォマティクスの各企業、規制当局から参集し、ゲノミクスやプロテオミクスの新技術、新たな標的治療薬が個々のがん患者の治療に与える影響について、またがん個別化治療を革新的な臨床試験と日常診療に導入して実践するためのハードルについて、自身の見解を表明し、それらをめぐって議論を展開しました。

個々の患者の腫瘍は通常、異常遺伝子とその遺伝子産物の組み合わせで引き起こされており、多くの場合で遺伝子の突然変異ないし遺伝子の再構成が関与しています。腫瘍ドライバーの組み合わせは多くの場合、同じ組織構造の腫瘍を持つ患者同士の間で異なり、同じ患者でさえも異なる時点において違います。幾人かの発表者が、腫瘍組織における遺伝子異常を検出・評価するためにバイオマーカーや分子診断に対する依存傾向が増大している点に言及しました。これらの試験の一部はたいてい、単一の異常を検出する試験であり、がん患者の予後の判定における価値に加え、大腸がん・乳がん・黒色腫に対する幾つかの標的治療薬を含め、特定の治療薬に対する反応性が高い患者と低い患者の事前確認における価値について、既に実証されています。非小細胞肺がんで行っているのと同様に、ゲノム系列やプロテオーム系列ごとに、このように組織学的に明らかな腫瘍タイプのさらなるフラグメンテーションがなされるでしょう。現在利用されている以上に「実用的」な遺伝子異常が地平に立ち現われています。

このように急速に増えている標的治療薬、バリデーション済みバイオマーカー、分子診断法が使えるようになり、全ゲノムシーケンスが新たなツールとして登場しているため、がんの診断・予後判定・治療の複雑性が増しています。この点はWINコンソーシアム科学諮問委員会委員長のリチャード・L・シルスキー医師が開会の辞で指摘した通りです。臨床試験や日常診療で導入されている診断法は複雑性を増しつつその数が増加しており、莫大な量のデータを処理して、患者とその治療に当たる医師を意思決定の面で支援する必要性が生じてくるはずです。そのためバイオインフォマティクス企業・組織の幾つかは、がんの分野に分け入って、オンコロジーにおけるバイオインフォマティクスの課題に取り組んでいます。

WINシンポジウムのウェブキャスト:www.winsymposium.org
ビデオ:http://ecancer.org/conference/videos/328-win-symposium-2013.php

次回のWINシンポジウムは2014年6月23~24日にパリでの開催が予定されています。

www.winconsortium.org

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Director
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Catherine.Bresson@winconsortium.org

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