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エリテック、急性リンパ芽性白血病を対象とするERY-ASP/GRASPA®の臨床試験で別の良好な第III相の結果を報告

2014年12月11日 PM05:33
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仏リヨン

(ビジネスワイヤ) — 急性白血病および医療ニーズが満たされていないその他の腫瘍適応症を対象に革新的な「腫瘍飢餓化」治療薬の開発に当たっているフランスのバイオ製薬企業エリテック(Paris:ERYP)(Euronext Paris: FR0011471135 – ERYP)は、急性リンパ芽性白血病を対象とするERY-ASP/GRASPA®のピボタル試験について、別の良好な第III相の結果を報告します。

本試験の良好なトップラインデータは9月末、利用に供しており、第III相臨床試験GRASPIVOTALLでは2つの主要評価項目をいずれも達成したことを実証しています。臨床試験における過敏症の有意な低減がERY-ASP/GRASPA®(開発名:ERY001)で観察される一方、対照群における天然L-アスパラギナーゼ(L-ASP)と比べ、長時間にわたってアスパラギナーゼ活性を維持しました。本試験は、アスパラギナーゼに対するアレルギー既往歴がある患者において、過敏症およびアスパラギナーゼ活性の両面で良好な結果も示しました。

新たな試験結果は事前設定した重要な副次的評価項目に基づいており、サンフランシスコで開催された米国血液学会(ASH)年次大会に合わせて実施された治験責任医師会議で発表・検討されました。注目すべき点として、本試験はいずれの副次的パラメーターについても統計的有意性を実証するような構成になっていません。

これらの新結果から、以下が示されました。

  • ERY001は天然L-アスパラギナーゼ(L-ASP)と比べ、完全寛解(CR)率が有意に改善し、無イベント生存率(EFS)および全生存率(OS)の改善傾向が見られた。OS中央値およびEFS中央値には達していない。
  • 全体的に安全性プロファイルが向上、特に凝固パラメーター(凝固障害)が改善し、過敏症反応が低下(ERY001でアレルギー反応がないのに対して、L-ASPでは43%で見られ、うち25%がグレード3以上)。
  • 患者のリスク状態、年齢(小児対成人)のいずれも、試験結果に影響を与えなかった。
  • 天然アスパラギナーゼにランダム化できなかったアスパラギナーゼ過敏症既往歴のある患者(探索的な“HypSen”群)でも良好な結果が示された。

下記の表でERY001を検討したGRASPIVOTALL臨床試験(フォローアップ期間1年)の主要な結果をまとめています。

  ランダム化群       HypSen群
ERY001   L-ASP       ERY001
    N=26   N=28       N=26
主要評価項目                
アスパラギナーゼ活性の持続期間      
>100IU/l (days)*   20.5±5.2   9.4±7.4   p0.001   18.6±6.3
アスパラギナーゼ関連の過敏症
全グレード 0 (0%) 12 (43%) p0.001 3 (12%)
グレード3以上   0 (0%)   7 (25%)       0 (0%)
主要な副次的評価項目                
CR** 17 (65%) 11 (39%) p=0.026 14 (54%)
欠測値を除外   17/23 (74%)   11/26 (42%)       14/24 (58%)
MRD <10-3 **   9 (35%)   7 (25%)   p=0.605   6 (23%)
6カ月OS HR=0.35
    92.3%   78.6%   (95% CI:0.09-1.39)   73.1%
12カ月OS HR=0.63
    76.9%   67.9%   (95%CI:0.23-1.74)   50.0%
12カ月EFS HR=0.54
    64.9%   48.6%   (95%CI:0.23-1.26)   50.3%
1つ以上のAEを伴う患者***   19 (73%)   28 (100%)       17 (65%)
アンチトロンビンIII の低下 4 (15%) 20 (71%) p<0.05 6 (23%)
低フィブリノーゲン血症   8 (31%)   19 (68%)   p<0.05   7 (27%)

*全血で測定 **導入療法後 ***導入療法期間中の治験薬に関連した有害事象

1年間のフォローアップ期間にわたって2つのランダム化群で重要な関心のある有害事象として最も一般的だったものは、治験薬との関係やグレードに関係なく、ERY001群とL-ASP群のそれぞれで、アラニンアミノトランスフェラーゼ値の上昇(54%対32%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値の上昇(31%対21%)、ビリルビン濃度の上昇(8%対29%)、低フィブリノーゲン血症(31%対68%)、低アルブミン血症(19%対39%)、アンチトロンビンIII の低下(15%対71%)、アミラーゼ値の上昇(31%対29%)、リパーゼ値の上昇(27%対36%)でした。

小児血液病・オンコロジー研究所(IHOP、仏リヨン)の血液腫瘍医で治験責任医師のイブ・ベトランド教授は、次のように述べています。「これらの結果に基づき、私はERY001が再発性ALL患者にとって最適な選択肢であると考えます。アスパラギナーゼ活性を維持しながら忍容性を改善しているからです。さらに、本試験の結果はL-アスパラギナーゼに対する過敏症反応のリスクを持つALL患者の治療を行う上で、重要な前進となるものです。こうした治療は未充足の医療ニーズとなっています。」

エリテックのGil Beyen会長兼最高経営責任者(CEO)は、次のように述べています。「第III相データの新たな解析から知り得た知見は、完全寛解率の改善の有意性、生存率の改善傾向、安全性についての幾つかの重要な懸念の顕著な改善ですが、これらは当初の期待と試験の目的を超えるものです。今回の第III相の結果によって、当社が計画しているように、2015年前半における欧州連合でのGRASPA®の承認申請、米国における臨床開発の加速に弾みがつきます。」

GRASPIVOTALL 試験について

GRASPIVOTALL試験は第II/III相多施設対照試験で、再発性/難治性の急性リンパ芽球性白血病(ALL)を患っている小児・成人患者80人が3群に分かれて参加しています。最初の2群は、L-アスパラギナーゼに対するアレルギー歴がない患者において、推奨化学療法(COOPRALL)と併用し、ERY001(ERYASP/GRASPA®)と天然E. Coli L-アスパラギナーゼ(L-ASP)に1対1でランダム化割り付けして比較するものです。もう1つの群は、第1選択療法でアスパラギナーゼにアレルギー反応を示した患者においてERY001を評価する探索的試験群(HypSen群)です。

本試験では複合主要評価項目を設定してあり、a) 対照群と比較して、ERY001の場合にアレルギー反応の発生率が有意に低減することで示される優れた安全性、b) 非アレルギー患者における導入相で閾値100 IU/l以上でアスパラギナーゼ活性が非劣性を示す期間としました。本試験の結果が良好であると見なすには、両評価項目を満たす必要があります。主要な副次的評価項目には、完全寛解(CR)、微小残存病変(MRD)、全生存率(OS)、無イベント生存率(EFS)、安全性などの臨床的指標の評価があります。

80人の患者が2009年12月から2013年8月にかけてフランスとベルギーの27センターで治療を受け、26人がERY001群(小児21人、成人5人)、28人がL-ASP群(小児21人、成人7人)、26人がHypSen群(小児15人、成人11人)に割り付けられました。本試験は患者のリスクプロファイルの点でもバランスが取れており、ノーマルリスク治療(F1/F2)を受けた患者は、ERY001群で26人中16人であるのに対して、L-ASP群では28人中15人でした。HypSen群では26人中12人がF1/F2による治療を受けました。

急性リンパ芽球性白血病(ALL)について

急性リンパ芽球性白血病(ALL)は悪性度の高い白血病(血液ないし骨髄のがん)で、リンパ球前駆細胞の急速で異常な増殖を特徴としています。ALLは一般的に進行が早く、治療を施さなければ数カ月で致命的となる場合があります。毎年、欧州(EU27)で約1万人、米国で約6000人がALLと診断されています。これらのうち約60%が小児、20%が成人、20%が高齢者(55歳超)となっています。新しい治療法や治療薬、とりわけアスパラギナーゼの開発により、小児ALL患者の予後は大幅に向上し、5年生存率は1960年代の30%から現在では約90%となっています。さらに高齢の患者(成人および高齢者)と再発患者は、従来のアスパラギナーゼ製剤に対する忍容性がない場合が多く、長期全生存率はがん分野で最低レベル(10%から30%)であり、重要な未充足の医療ニーズを残しています。

エリテックおよびGRASPA®について:www.erytech.com

2004年にリヨンで創設されたエリテックはがん患者、特に急性白血病や一部の固形腫瘍の患者に新たな展望を提供するフランスのバイオ製薬企業です。

エリテックは酵素のアスパラギナーゼを赤血球に封入することでERY-ASP/GRASPA®を開発しました。ERY-ASP/GRASPA®は、「飢餓状態」を通じてがん細胞の破壊を狙うと同時に、副作用を大幅に低減する革新的治療薬です。ERY-ASP/GRASPA®については欧州で、急性リンパ芽性白血病(ALL)を対象とする第III相臨床開発を完了しており、急性骨髄性白血病(AML)を対象とする第IIb相臨床試験が進行中です。また本製品は米国でALLを対象とした第I/II相臨床開発が進行中です。

毎年、欧州と米国で約5万人の患者が、ALLまたはAMLと診断されています。現在、これら患者の約80%、主として成人、高齢者、小児の再発患者に対しては、既存のアスパラギナーゼ製剤はその毒性が原因で使用できません。ERY-ASP/GRASPA®は、最も虚弱な患者を含むすべての急性白血病患者が治療を受けられるよう、忍容性プロファイルの改善を目標に開発が進められています。エリテックが対応している市場セグメントは、10億ユーロ超の潜在力に相当します。

また、エリテックは固形腫瘍の分野における適応症と、オンコロジー以外の一部の希少疾患適応症についても、開発を進めています。現在、エリテックはERY-ASPについて、欧州ですい臓がんを対象とする第II相試験を実施中で、他の固形腫瘍適応症も追求しています。

エリテックは欧州と米国の両方で、ALL、AML、すい臓がんにつきERY-ASP/GRASPA®の希少薬指定を受けております。また仏リヨンと米フィラデルフィアに稼働可能な自前の製造施設を擁しています。

エリテックは急性白血病の分野で2件の販売提携契約を結んでいます。1つは欧州におけるオーファン・ヨーロッパ(レコルダーティ・グループ)との契約、もう1つはイスラエルのテバとの契約です。

エリテックはパリのユーロネクスト規制市場に上場しており(ISINコード:FR0011471135、ティッカー:ERYP)、CAC All Shares、CAC Healthcare、CAC Pharm & Bio、CAC Small、CAC Mid&Small、CAC All Tradable、EnterNext PEA-PME 150、Next Biotechの各指数の構成銘柄となっています。エリテックの株式はPEA-PME(フランスの中小企業向け節税プラン)適格です。

将来見通しに関する情報

本リリースはエリテックの財務状況・業績・戦略・プロジェクトや、当社および当社が事業を展開する市場について予想される将来の業績および動向に関し、将来見通しに関する記述や推定を含む可能性があります。これら記述・予想・推定の一部は「考える」「予想する」「期待する」「意図する」「計画する」「目指す」「推定する」「可能性がある」「予定する」「継続する」および類似の表現の使用により識別できますが、これらに限定されません。これら記述には過去の事実ではない事柄がすべて含まれます。それら記述・予想・推定は既知・未知のリスク、不確実性、その他要因のさまざまな仮定と評価に基づいていますが、それら仮定・評価はその時点で妥当とみなされたものでも、結果的に正しかったと判明する場合としない場合があります。実際の出来事は予測することが困難で、当社のコントロールが及ばない要因に依存する場合があります。従ってエリテックの実際の結果、財務状況、成績・成果、あるいは業界の実績は、それら記述・予想・推定で明示ないし暗示された将来のどのような結果・成績・成果とも大きく異なる場合があります。エリテック・ファーマがフランス金融市場庁(www.amf-france.org)に提出した書類は当社ウェブサイト(www.erytech.com)でも閲覧可能ですが、それらのリスクや不確実性について説明が記されています。これらの不確実性を考慮し、将来見通しに関する記述・予想・推定について、正確さと公平さに関する表明は行いません。また将来見通しに関する記述・予想・推定は、本リリースの発表時点におけるものです。読者はこれらのいかなる将来見通しに関する記述についても、過度の信頼を寄せないよう、注意が必要です。フランスの法律で要求されている場合を除き、エリテックはこれら将来見通しに関する記述・予想・推定のいずれについても、それらに関する当社の予想内容のいかなる変更であれ、またはそれら記述・予想・推定の根拠となる出来事・状況・環境のいかなる変化であれ、これらを反映する目的でこれら将来見通しに関する記述・予想・推定を更新する一切の義務を否定します。

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