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生涯にわたるストレスにより、がんによる死亡リスクが14%上昇する可能性-米研究

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2022年10月24日 PM04:15

慢性的なストレスはがんによる死亡と関連

慢性的なストレスを抱えている人は、将来的にがんにより死亡するリスクが有意に高いことが、米国国民健康栄養調査()の30年以上に及ぶデータの分析から明らかになった。人種、性別、病歴などの多数の要因を調整した後でも、生涯にわたるストレスにより、がんによる死亡リスクが14%上昇する可能性が示唆されたという。米オーガスタ大学ジョージア医学部のJustin Moore氏らによるこの研究の詳細は、「SSM-Population Health」9月号に掲載された。


画像提供HealthDay

Moore氏によると、慢性的なストレスとがんによる死亡との関連は、「アロスタティック負荷」に起因するという。人間の体には、急性のストレスに適応して身体の恒常性を維持する仕組みが備わっている()。しかし、ストレス負荷が長引いたり過度になったりすると、身体の恒常性維持のバランスが失われ、それが原因で身体に障害が発生することがある。この負荷をアロスタティック負荷という。同氏によると、アロスタティック負荷は、BMIや高血圧、血糖値やコレステロール値など、さまざまな生体マーカーにより具体的な数字として測定可能だという。

Moore氏らは今回、アロスタティック負荷ががんによる死亡に及ぼす影響を検討するために、1988年から2010年のNHANESのデータ(対象者の総数は4万1,218人)を、2019年12月31日までのNational Death Index(国民死亡指標)とリンクさせて分析した。アロスタティック負荷を測るマーカーとして、BMI、拡張期血圧(DBP)、収縮期血圧(SBP)、総コレステロール値、HbA1c値、血清トリグリセライド濃度、血清アルブミン濃度、血清クレアチニン濃度、C反応性蛋白(CRP)濃度を選択。アルブミン濃度以外は75パーセンタイル以上をハイリスク、アルブミン濃度は25パーセンタイル以下をハイリスクとして、0(低リスク)または1(ハイリスク)でスコア化した。その上で、総アロスタティック負荷スコアを0〜9点で算出し、3点以上を「アロスタティック負荷が高い」とした。

その結果、対象者の半数弱(1万9,714人)で、アロスタティック負荷が高いことが明らかになった。これらの人々ではアロスタティック負荷が低い群と比較して、黒人と高齢者が多く、教育水準が低く、裕福度も低かった。

次いで、高アロスタティック負荷とがんによる死亡リスクとの関連を、喫煙歴や心筋梗塞の既往などの関連因子で調整して検討した。その結果、アロスタティック負荷が高い群は低い群に比べて、がんによる死亡リスクが14%高いことが明らかになった。対象を非ヒスパニック系白人成人のみに限定した場合でも、アロスタティック負荷が高い群でのがんによる死亡リスクは低い群よりも18%高かった。さらに、人種、アロスタティック負荷、およびがんによる死亡との関連を年齢で分類して検討した。その結果、40歳未満でのアロスタティック負荷が低い群に比べた高い群でのがんによる死亡リスクは、全対象者で80%(部分分布ハザード比1.80、95%信頼区間1.35〜2.41)、非ヒスパニック系白人で95%(同1.95、1.22〜3.12)、非ヒスパニック系黒人で2倍(同2.06、1.27〜3.34)、ヒスパニック系で36%(同1.36、0.70〜2.62)増加していた。

こうした結果を受けてMoore氏は、「ストレスの累積はがんによる死亡リスクと関連している」と結論付け、「この関連に対処するためには、慢性的なストレスや炎症を軽減するための公衆衛生と臨床の双方での対策が必要だ」と述べている。

さらにMoore氏は、がん特有のリスクを明確にし、がんの転帰にストレスが果たす役割を明らかにするために、研究を積み重ねていく必要がある」と話している。(HealthDay News 2022年10月13日)

▼外部リンク
Exploring racial disparities on the association between allostatic load and cancer mortality: A retrospective cohort analysis of NHANES, 1988 through 2019

HealthDay
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