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喫煙者が「朝にコーヒーを飲みたがる」理由を科学的に説明できる可能性

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2022年09月01日 PM02:30

喫煙者が朝にタバコと一緒にコーヒーを飲みたがる理由とは?

喫煙者は、朝起きたときにニコチンの重度の離脱症状に苦しめられると、タバコと一緒にコーヒーを飲みたがることがある。その理由を科学的に証明する研究結果が報告された。同研究では、焙煎したコーヒー豆に含まれる2種類の化合物が、脳内の特定のニコチン受容体に直接影響を及ぼして、ニコチンに対する渇望を緩和する可能性のあることが示された。米フロリダ大学医学部薬理学分野教授のRoger Papke氏らによるこの研究結果は、「Neuropharmacology」9月15日号に発表された。


画像提供HealthDay

Papke氏は今回の研究を実施した背景について、「ニコチン依存症の喫煙者が、朝にはコーヒーと、夜にはアルコールと一緒にタバコを吸うことに興味を抱いた。脳内のニコチン受容体に対するアルコールの影響は研究され尽くしているといっても過言ではないが、ニコチン受容体とコーヒーとの相互作用については、あまり研究されていない」と説明する。

そこでPapke氏らは今回、ヒト脳内の特定のニコチン受容体〔ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)〕の亜型を発現したアフリカツメガエルの細胞に、焙煎していない豆から抽出したコーヒーと深煎りした豆から抽出したコーヒーの溶液を塗布し、コーヒーが受容体の活性に及ぼす影響を調べた。

その結果、コーヒー豆を焙煎する過程で生成される2種類の化合物が、ニコチン依存性と関連することが知られているニコチン受容体の機能不全を修正するのに役立っている可能性のあることが明らかになった。研究グループは「喫煙者では、これらの受容体が、夜間にニコチンなしで過ごした後に過敏になっている可能性がある」との見方を示している。

こうした結果を受けてPapke氏は、「多くの人は、朝に好んでカフェインを摂取する。しかし、われわれの研究から、コーヒーに含まれているカフェイン以外の分子から、喫煙者が朝にコーヒーを飲みたがる理由を説明できる可能性のあることが示された」と述べている。ただし、今回の研究は細胞を使って実施されたものであり、ヒトでも同様の結果が得られるのかを確認する必要がある。

それでもPapke氏はこの研究について、「コーヒーとタバコが脳のニコチン受容体に与える影響についての理解を深める上で重要なステップとなるものだ。また、動物モデルにおいてニコチンの離脱症状を調べる上でも良い基盤になる」と述べている。(HealthDay News 2022年8月22日)

▼外部リンク
Coffee and cigarettes: Modulation of high and low sensitivity α4β2 nicotinic acetylcholine receptors by n-MP, a biomarker of coffee consumption

HealthDay
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