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リバーロキサバン単剤療法、CAD合併AF患者で抗血小板薬との併用療法に非劣性-ESC

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2019年09月04日 PM05:45

ESCのガイドラインで推奨される単剤療法を日本の臨床試験で検証

)は9月2日、)を合併する心房細動()患者に対し、経口抗凝固薬リバーロキサバン(製品名:イグザレルト)の単剤療法が、同剤と抗血小板薬との併用療法に対して非劣性を示した研究内容を発表した。この研究内容は、日本で行われた「CADを合併する非弁膜症性AF患者におけるリバーロキサバン単剤療法に関する臨床研究(AFIRE試験)」の結果で、国立循環器病研究センター病院の安田聡副院長(同心臓血管内科部門長)が、同学会会議のホットラインセッションで同日に口頭発表した。同会議は、2019年8月31日~9月4日にフランスのパリで開催された。また、同研究成果は「New England Journal of Medicine」にも掲載されている。

AF患者の2~3割は、冠動脈疾患も患っている。AFは年齢とともに有病率が上がるため、高齢化に伴いCADを合併するAF患者は増えると予想される。ESCのガイドラインでは、介入を必要としないCAD合併のAF患者、および経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後1年以上経過したAF患者に、経口抗凝固薬の単剤療法を推奨している。一方で、この推奨は、ランダム化比較試験の結果に基づいたものではない。また、実臨床では、かなりの数の患者が経口抗凝固剤と抗血小板薬の併用治療を続けているため、ガイドラインの推奨が反映されているとはいえない状況だ。

PCI後の抗血小板薬の使用は、虚血性またはアテローム血栓性イベントのリスクを低減するが、出血リスクを高める。こうした背景により、CADを合併するAF患者、またはPCI後1年以上経過したAF患者に対する抗血小板療法の期間は、ランダム化比較試験(RCT)による検討を要する重要な臨床的課題といえる。PCI後1年以内のAF患者のコントロールを検討した試験は、これまでに多くなされているが、1年を超えて治療を評価した試験は1つしかなく、その結果は決定的ではなかった。

AFIRE試験では、CADを合併するAF患者、または、PCIまたは冠動脈バイパス術後1年以上経過した患者において、リバーロキサバン単剤療法の有効性および安全性を、併用療法(リバーロキサバンと抗血小板薬)と比較検討した。対象患者は、日本の294施設の合計2,236人で、ランダムに単剤療法または併用療法に割り当てられた。有効性主要エンドポイントは、脳卒中、全身性塞栓症、心筋梗塞、血行再建術を必要とする不安定狭心症、および全死因死亡とされ、安全性主要エンドポイントは、国際血栓止血学会(ISTH)基準による重大な出血性合併症とされた。両群において全死因死亡率が高かったため、データモニタリング委員会は、追跡期間の中央値にあたる24.1か月を経過した2018年7月に、試験を早期終了するよう推奨し、試験は打ち切られた。

安全性、有効性ともに単剤療法>併用療法

結果をITT解析した結果、主要エンドポイントは、単剤療法の89人(年間発生率4.14%)、併用療法の121人(同5.75%)で発生し、単剤療法群で有意に低かった(HR 0.72; 95%CI 0.55-0.95; p<0.001で非劣性)。また、事前に特定されていなかった有効性の主要エンドポイントによる優位性評価では、p値は0.0188だった。

安全性主要エンドポイントの発生率は、単剤療法が年間1.62%、併用療法が2.76%と、単剤療法群で有意に低かった(HR 0.59; 95%CI 0.39-0.89; p= 0.0115)。全死因死亡率も、単剤療法が年間1.85%、併用療法が3.37%と、単剤療法群で有意に低かった(HR 0.55; 95%CI 0.38-0.81)。臨床的有害事象(全死因死、心筋梗塞、脳卒中、大出血による)も、単剤療法が年間3.90%、併用療法が6.28%と、単剤療法群で低かった。

安田副院長は、「研究は早期に中止されたため、結果の解釈には注意が必要であるものの、経口抗凝固薬単剤療法がCADを合併するAF患者にとって、抗血小板薬との併用療法よりも優れたアプローチであることが示された」と、述べている。

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