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タグリッソ、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療で第1世代EGFR-TKIに対し優れたPFS延長示す-英AZ

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2017年09月13日 PM01:30

1stライン標準治療のゲフィチニブ/エルロチニブと比較

英アストラゼネカ社は9月9日、局所進行あるいは転移性上皮成長因子受容体()変異陽性非小細胞性肺がん()成人患者の一次治療での「タグリッソ」(一般名:オシメルチニブ)の使用を検討した、第3相FLAURA試験の全結果を発表した。現在の標準的な治療である既存EGFRチロキナーゼ阻害剤(ゲフィチニブもしくはエルロチニブ)と比較して、臨床的に有意義な優れた無増悪生存期間(PFS)を示したという。

タグリッソは第3世代の不可逆的EGFR阻害剤。EGFR感受性変異およびEGFR T790M耐性変異の両方を阻害し、(CNS)転移に対する臨床活性を発揮するよう設計されている。現在、EGFR-TKIによる治療後にEGFR T790M遺伝子耐性変異した進行性NSCLCの2次治療として、米国およびEU、日本、中国を含む50か国以上で承認されている。

FLAURA試験は、局所進行あるいは転移性EGFR変異陽性NSCLC患者を対象とし、タグリッソ80mg1日1回投与の有効性および安全性をファーストライン標準治療であるEGFR-TKI(ゲフィチニブ(250mg 1日1回経口投与)あるいはエルロチニブ(150mg 1日1回経口投与))と比較検討した試験。二重盲検無作為化試験であり、30か国の556例の患者を対象としている。

病勢進行・死亡リスクを50%以上減少

試験の結果、タグリッソ投与群の病勢進行または死亡リスクは、ゲフィチニブ、エルロチニブ投与群と比較して50%以下(ハザード比[HR]0.46、95%信頼区間[CI] 0.37~0.57、p<0.0001)で、タグリッソ投与群のPFS中央値は18.9か月、対照群では10.2か月だった。また、PFSの改善は事前に解析項目を指定された全てのサブグループで一貫しており、治験参加時のCNS転移有無、アジア系/非アジア系患者群、喫煙歴の有無、エクソン19欠失/L858Rを有する患者群を含め、病勢進行または死亡リスクを少なくとも40%減少したという。

(OS)のハザード比は0.63(95% CI:0.45~0.88、p=0.0068)で、タグリッソが良好な傾向。OSに関するイベント発現割合は中間解析時点で25%あった(タグリッソ投与群の21%が死亡し、対照群では30%が死亡)。0.0068のP値は、このイベント発現割合における統計学的な有意性に必要な0.0015という閾値を下回らなかった。最終的なOSの解析は今後行われる予定。

タグリッソ投与群の奏効期間(DoR)の中央値は、対照群の中央値の2倍以上(17.2か月対8.5か月)。奏効率()は、対照群の76%に対し80%(オッズ比1.28 [0.85~1.93]、p=0.2335)だった。

同試験における安全性データは、グレード3以上の有害事象の発生率が低く、これまでの臨床試験の結果と合致。タグリッソ投与群において、最も一般的な有害事象は下痢(58% [グレード3以上の2%])と皮膚乾燥(32% [グレード3以上の1%未満])で、対照群で最も一般的な有害事象は下痢(57% [グレード3以上の3%])とざ瘡様皮疹(48% [グレード3以上の5%])だった。タグリッソ投与群のうち、グレード3以上の有害事象は33.7%で、対照群では44.8%。治療中止に至る有害事象はまたタグリッソ投与群で13.3%、対照群で18.1%だった。

なお、この試験結果は、スペインのマドリッドで開催されている2017年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次学会のレイトブレーキング演題の中からプレジデンシャル・シンポジウムに採択された。

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