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アークレイ 遺伝子検査キットを新発売

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2014年02月06日 PM08:00

副作用発現予測などでがん領域の個別化医療をサポート

アークレイ株式会社は1月28日、遺伝子解析装置i-densyの専用試薬(体外診断用医薬品)である、UDPグルクロン酸転移酵素(UGT1A1)遺伝子多型キット「アイデンシーパックUGT1A1」を2月4日より販売すると発表した。抗がん剤の投薬前診断に用いることで、副作用の軽減などを図ることができるという。

(記事内の画像はプレスリリースより)

この「アイデンシーパックUGT1A1」は、アークレイにとって初となる遺伝子検査用の体外診断用医薬品。肺がんや大腸がんなどの治療に用いられる抗がん剤「イリノテカン塩酸塩水和物」(一般名、商品名「カンプト」「トポテシン」)を投与した際の副作用発現を予測することに役立つとしている。

現在、手作業での検査が主流であるUGT1A1遺伝子多型の測定だが、全血または精製核酸を試料とし、アークレイの販売する遺伝子解析装置「アイデンシーIS-5320」と合わせて用いることで、全自動の簡便な遺伝子検査実施が可能となるという。

これまで半日以上を要することが通常であったUGT1A1遺伝子多型の測定が、検体のセットから結果出力まで、約90分で完了できるという高速性も実現している。

操作方法はシンプル、患者に合った治療内容の決定に貢献

UGT1A1はイリノテカンの代謝酵素で、UGT1A1 28およびUGT1A1 6の遺伝子型をもつ患者は、酵素活性の低下により、好中球の減少や下痢などの重篤な副作用が現れる可能性があることが分かっている。よって、投薬前にこの遺伝子検査をあらかじめ実施することで、副作用の発症予測が可能となり、より個々の患者に合った治療内容の決定が実現するものと期待される。

解析装置のアイデンシーIS-5320は、薬剤代謝に関係する遺伝子の塩基配列や、がんなどの遺伝子変異を全自動で解析するもので、検体の前処理から遺伝子増幅、遺伝子型判定までを、簡単な操作で、素早く行うことができるという。

操作方法は、検体をアプライした試薬パックとチップ、反応チューブを装置にセットし、スタートキーを押すだけ。ごく簡便に遺伝子解析を行えるものとなっている。

アークレイでは、今後この発売を契機に遺伝子検査装置・試薬の研究開発をより積極的に推進し、がん治療をはじめとする個別化医療をサポートしていきたいとしている。(紫音 裕)

▼外部リンク

アークレイ株式会社 プレスリリース
http://www.arkray.co.jp/press/

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