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新規抗てんかん薬が果たす役割と展望【3/4】副作用と単剤投与によるメリットとは

読了時間:約 1分19秒  2015年01月29日 AM10:30
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抗てんかん薬は脳の異常放電を抑えるという強い作用を持つため、副作用があらわれることはやむを得ない。しかし、眠気やめまい、体重増加、うつ、計算能力や認知機能の低下、気分の落ち込みなど、日常生活に支障をきたす副作用を患者はとても嫌がるという。

副作用と単剤投与によるメリットについて、日本医科大学脳神経外科学教室講師、日本医科大学武蔵小杉病院脳神経外科講師・医長の太組一朗先生に聞いた。

抗てんかん薬の導入時は漸増法が基本

「医師と患者さんとでは、副作用の認識に大きな食い違いがあることが、いくつかの調査であきらかにされています。脱毛や手のふるえなど患者さんが副作用として認識しづらいものもあるため、医師が副作用のことをよく知って情報を引き出すことも大切です」と太組先生。

また、薬の効果判定にはある程度の時間が必要だ。その人にとって「効果と副作用のバランスのよい治療」をみつけるための薬剤変更であれば、一時的に発作が再現することを過剰に恐れる必要はないというのが太組先生の方針だとか。

ただし「抗てんかん薬を導入する際は、ごく低用量からはじめ、効果と副作用を観察しながら段階を踏んで増量していく「漸増法」が基本です。これを遵守することで副作用は十分回避することが可能です」(太組先生)

抗てんかん薬のなかでは奇形発現率が低い

2014年8月末、新規抗てんかん薬のラモトリギンが初めて単剤療法で処方できるようになった。抗てんかん薬による先天性奇形の発現率は、単剤療法より併用療法を行った場合のほうが高い(非服用者の奇形発現率は3.1%、1剤で7.8%、2剤で9.6%、5剤で15.4%)との報告もあり、喜ばしい出来事といえる。

「抗てんかん薬のなかでは奇形発現率の低い薬剤ですが、単剤投与が可能になったことでさらにリスクが軽減されることが期待されます。ただし医師側、患者側ともに催奇形性のリスクに対する注意は引き続き必要です」(太組先生)

(この連載はグラクソ・スミスクライン株式会社提供の「News Letter てんかん 第4便」をもとに、QLifePro編集部が編集、一部加筆したものです)