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世界全体でバイオ/GM作物の作付けが1996年から100倍増加

2013年02月25日 PM01:10
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フィリピン・マニラ

(ビジネスワイヤ) — 20年近く前にバイオ/GM作物が導入されてから初めて、発展途上国におけるバイオ作物の作付け面積が先進国を上回り、食料安全保障と世界でも特に恵まれない地域の一部における貧困緩和促進に寄与しています。

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)が本日発表した報告書によれば、発展途上国が2012年に栽培したバイオ作物は世界全体の52%に達し、前年の50%から増加して2012年における先進国の割合48%を上回りました。

バイオ作物が初めて商用化された1996年には170万ヘクタールであったバイオ作物の栽培面積が2012年には1億7千万ヘクタールに達し、空前の100倍増を記録しました。「バイオ作物は近年最も急速に導入されている農業技術といえます」と、ISAAAの創設者で年次報告書の執筆に長年携わっているクライブ・ジェームズ会長は語っています。

発展途上国におけるバイオ作物の導入は、過去数年で着実に増加し、かつては先進国を上回ることは不可能と考える人々もいたものの、2012年に遂にその逆転が起きたとジェームズ会長は述べています。同時に、世界全体でのバイオ作物の栽培もかつてなく増えています。

ジェームズ会長は次のように述べています。「この成長ぶりは、1996年にこの技術が商用化される前に、バイオ作物は先進国にのみ適したもので発展途上国に受容され採用されることはないだろうと時期尚早にも断言した批評家たちの予想を裏切るものです。」

この報告書は、収穫高を増やすだけでなく、燃料・時間・機械の節約、殺虫剤使用の削減、農作物の品質向上、栽培サイクルの短縮による反復回数増加が実現する遺伝子組み換え作物のメリットに対する認知が発展途上国において向上していることを裏付けています。

1996年から2011年にかけて、バイオ作物は982億米ドル相当の農作物収穫量増大を実現、殺虫剤を4億7300万kg(有効成分)削減して環境保護に寄与、二酸化炭素排出量を2011年だけで230億kg(自動車1020万台分に相当)削減、1億870万ヘクタール分の土地を節約して生物多様性確保に貢献、世界の最貧困層に属する1500万世帯以上の零細農家(計5000万人以上)を支援して貧困の緩和に寄与することにより、食料安全保障、持続可能性、気候変動防止に寄与しました。バイオ作物は非常に重要ですが、万能薬というわけではなく、輪作や耐性管理といった適切な農業慣行を順守することは、従来の作物にとってと同様、バイオ作物にとっても必要不可欠です。

空前の成長

世界全体のバイオ作物の栽培面積は2012年に1億7030万ヘクタールを記録し、2011年に比べて6%(1030万ヘクタール)の増加となりました。生産性と効率性の向上により世界全体で農家の収入が増大しました。

ジェームズ会長は次のように述べています。「農家がバイオテクノロジーに寄せる信頼を支えるものとして、ある重要な否定できない理由があります。それは、バイオ作物には実質的で持続可能な社会経済上および環境上のメリットがあるということです。」

零細農家ほど大きなメリット

ISAAAの報告書は、発展途上国におけるバイオ作物導入の速度と規模が先進国を大幅に上回っていることも裏付けています。発展途上国におけるバイオ作物の成長率は先進国の3倍以上の速さ、5倍の規模となっており、具体的には先進国の3%(160万ヘクタール)に対し11%(870万ヘクタール)となっています。

世界全体のバイオ作物の栽培農家数は2012年に1730万戸を記録し、前年に比べ60万戸増加しました。そのうち90%以上(1500万戸以上)が発展途上国の零細農家です。ジェームズ会長は次のように述べています。「食料価格の法外な高騰によっていっそう深刻化が進む世界の食料不足は大きな難題ですが、バイオ作物がその解決に貢献できます。」

スーダンとキューバの躍進

スーダンとキューバでは、昨年初めてバイオ作物の作付けが行われました。バイオ綿を導入したスーダンは、アフリカで南アフリカ、ブルキナファソ、エジプトに続き4番目にバイオ作物を商用化した国となりました。

一方、キューバでは、生態学的持続可能性の促進と殺虫剤不使用の継続のための取り組みの一環として、3000ヘクタール分のバイオハイブリッド・トウモロコシの栽培が行われました。

バイオ作物の作付けを行った28カ国のうち20カ国が発展途上国で8カ国が先進国でした。2011年には19カ国が発展途上国で10カ国が先進国でした。バイオ作物を栽培している28カ国には、世界人口の約60%を占める約40億人が居住しています。

ブラジルでバイオ作物が21%増加

合わせて世界人口の約40%を占める中国、インド、ブラジル、アルゼンチン、および南アフリカでは、2012年に世界全体の46%にあたる7820万ヘクタール分のバイオ作物が栽培されました。

ブラジルは4年連続で2012年も世界のバイオ作物の成長を牽引し、主導的な地位を確固たるものにしています。ブラジルはバイオ作物の栽培面積で米国に続き2位に位置しており、2011年の3030万ヘクタールから2012年には3660万ヘクタールに達して630万ヘクタールの増加となり、実質成長率は21%となりました。

ブラジルでは、科学的根拠に基づく迅速な承認システムにより、新しいバイオ作物を適時に導入することが可能になっています。たとえば、ブラジルは害虫への抵抗力と除草剤への耐性を持つスタック形質大豆を2013年に商用化することを承認した初めての国であるとジェームズ会長は述べています。

インドではバイオ綿の栽培面積が1080万ヘクタールを記録し、導入率は93%となりました。中国では、720万戸の零細農家によるバイオ綿の栽培面積が400万ヘクタールとなり、導入率は80%となりました。

米国の栽培面積が依然として世界最大

米国が引き続き世界トップの地位を占め、栽培面積は6950万ヘクタール、導入率は全農作物平均で90%となっています。報告書には、2012年に起きた大規模干ばつによりさまざまな作物に影響が及んだ旨が記されています。最も最近の試算によれば、干ばつにより、2012年の平均収穫高は2011年に比べてトウモロコシが21%減少、大豆が12%減少すると見込まれています。

他方カナダでは、キャノーラの栽培面積が840万ヘクタール、導入率が97.5%を記録しました。EU諸国では、2012年のバイオ・トウモロコシの栽培面積が12万9071ヘクタールを記録しました。ただしドイツとスウェーデンではバイオ・ジャガイモ「アムフローラ」の販売が中止となったため栽培を継続できませんでした。ポーランドでは、栽培に必要な承認はすべて完了していると主張するEUと承認していないポーランドの間における法律の解釈を巡る規制の不整合により、バイオ・トウモロコシの栽培が中止されました。

課題は残る

科学的根拠に基づく費用と時間対効果に優れた適切な規制システムがないことが、依然としてバイオ作物の導入を阻む主な要因となっています。貧困に苦しむ小規模な発展途上国にとって、厳格でありながら過剰な負担を強いることのない責任ある規制が必要である、とジェームズ会長は述べています。

ジェームズ会長は次のように続けています。「バイオ作物は、重要なものですが、万能薬というわけではありません。輪作や耐性管理といった適切な農業慣行を順守することは、従来の作物にとってと同様、バイオ作物にとっても必要不可欠です。」

近い将来の展望は明るく、2013年に米国では干ばつ耐性を持つ最初のバイオ・トウモロコシなどの新しい改良作物の作付けが承認され、同じく2013年にブラジルと南米近隣諸国でスタック形質大豆の最初の作付けが行われます。フィリピンでは、2013年から2014年にかけての時期に規制上の承認を受けられればビタミンAを増量したゴールデンライスが解禁される可能性があります。今後は、発展途上国でも先進国でも成熟市場の基本作物についてはすべて既に高い導入率が達成されていることから、世界全体でのバイオ作物栽培面積の拡大はより緩やかになっていく可能性が高い、とジェームズ会長は述べています。

詳細な情報、またはエグゼクティブサマリーについては、www.isaaa.orgをご覧ください。

国際アグリバイオ事業団(ISAAA)は、知識の共有と農作物におけるバイオテクノロジーの応用により、飢餓と貧困の緩和に貢献すべく創設された非営利組織で、国際拠点のネットワークを有しています。ISAAAの会長で創設者のクライブ・ジェームズは、過去30年にわたりアジア、ラテンアメリカ、アフリカの発展途上国で生活や仕事を行い、農作物バイオテクノロジーと世界の食料不足を中心とした農業調査と開発の問題に注力してきました。

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