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急性心不全患者、BMI低下に伴い入院関連機能障害のリスク増-神戸大ほか

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2022年10月07日 AM11:16

急性心不全患者のHAD発生率や医療費との関係をBMIに基づいて調査

神戸大学は10月6日、DPCデータを用いて急性心不全患者約23万人の体格と医療費、)に関する関係を調査し、体格()の低下に伴いHADリスクは上昇し、HAD患者では入院医療費が上昇することが明らかになったと発表した。この研究は、同大大学院保健学研究科の小川真人研究員、井澤和大准教授、科学技術イノベーション研究科の山下智也教授、医学研究科循環器内科学分野の吉田尚史研究員、平田健一教授らの研究グループと、医学研究科リハビリテーション機能回復学講座、医学研究科糖尿病・内分泌・総合内科学分野、医学部附属病院リハビリテーション部、国立循環器病研究センターとの共同研究によるもの。研究成果は、「International Journal of Cardiology」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

心不全は、世界中で急速に増加しており、国際的に最も重要な健康問題の一つとなっている。特に、超高齢社会を迎えた日本では、心不全患者の急増が「心不全パンデミック」として認識されている。心不全は入院を繰り返す疾患であるため、治療費の高騰や入院に伴う医療費負担は、経済的側面からも喫緊の課題となっている。また、日本では、心不全患者の入院期間が諸外国に比べて長く、心不全の入院費も高額であり、医療財政を圧迫している。

一方、虚弱な高齢者は心不全入院に伴う日常生活動作(ADL)の悪化(入院関連機能障害: Hospital associated disability(HAD))が大きな問題となっており、心不全患者のリスク層別化が必要とされている。今回、研究グループはBMIに着目し、体格によって急性心不全患者のHADの発生率や医療費との関係を調査した。

958病院の23万8,160人が対象、年齢中央値81.0歳

研究は、日本循環器学会が主導する循環器疾患診療実態調査()を用いて実施。JROAD調査施設の中からDPC参加病院を対象に、病名や診療行為の明細が含まれたDPCデータを集め、得られたデータからBMI、入院時と退院時のADL、入院医療費、並びに基本データを抽出した。さらに、BMIを世界保健機関のアジアBMI分類に従い層別化し、HADや入院医療費との関係を調査した。今回の研究では、食事や着替えなどの日常生活の能力の指標であるBarthel indexを入院時と退院時に調査し、入院時よりも退院時に低下があるものを入院関連機能障害と定義した。

研究期間中に日本の1,086の病院に入院し、急性心不全と診断された116万6,567人の患者を同定し、死亡例や欠損値例の除外を行った後、958病院の23万8,160人を対象とした。年齢中央値は81.0歳で46.2%が女性だった。BMIの中央値は22.2kg/m2で、15.7%が低体重、42.2%が標準体重、16.7%が過体重、19.3%が肥満I、6.0%が肥満IIだった。全体として、低体重群は高齢で、女性に多い傾向が見られた。一方、肥満II群では、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの合併症が多い傾向が見られた。入院中、リハビリテーションは39.4%に実施されていた。

急性心不全患者のHAD有病率7.43%、全年齢層でBMIが低いほどHADリスク増

HADを有する患者は全体の7.43%だった(低体重9.90%、普通体重7.81%、過体重6.72%、肥満Ⅰ 5.93%、肥満Ⅱ 5.09%)。痩せ型群ほどHADを発症しやすく、HAD発症患者は入院期間が延長していた。マルチレベル混合効果モデルを用いた解析において、低体重はHADの高い発生率と有意に関連していた(オッズ比1.32)。年齢で層別化すると、すべての年齢層でBMIが低いほどHADのリスクは増加する傾向が見られた。

HAD合併患者の入院医療費は高い

一人当たり入院医療費の中央値は、6,630米ドル(79万5,628円(1ドル120円換算))で、HADを合併する患者は入院医療費が増加する傾向にあった。また、痩せまたは肥満の場合に、入院医療費が増加する傾向にあることも明らになった。この関係は年齢に関係なく一貫していたが、若い患者ほど入院医療費が高い傾向にあった。

入院時のBMIに基づく早期かつ集中的な介入を推奨

研究結果は、入院時のBMIに基づく早期のリハビリテーション、特に年齢に関係なく痩せ、または肥満患者に対する早期かつ集中的な介入を推奨するものと言える。今後の心不全パンデミックに伴う入院医療費の急激な増加を考慮すると、今回の研究はHADによる患者並びに経済負担をより包括的に理解し、特に低体重患者のHAD予防におけるリスク層別化、政策立案、ベンチマーキングに貴重な情報を提供するものとなる可能性がある。研究グループは「今回の結果に基づく、リスクの層別化や外来でのフォローアップシステムの確立、地域連携の重要性を示唆するものとなる」と、述べている。

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