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オミクロン株検出PCR検査の感度、L452RよりG339Dの方が「高」-感染研

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2022年03月31日 AM10:45

L452R変異検査はオミクロン株での陰性を確認、G339D変異検査は陽性を見る新検査

国立感染症研究所は3月29日、新型コロナウイルスオミクロン株のスクリーニングPCR法の検出感度の違いについて比較検討した結果を、病原微生物検出情報()として報告した。この報告は、富山県衛生研究所の矢澤俊輔氏、五十嵐笑子氏、板持雅恵氏、稲崎倫子氏、佐賀由美子氏、川尻千賀子氏、谷英樹氏、大石和徳氏、愛媛県立衛生環境研究所の四宮博人氏が、富山県厚生部健康課、新川厚生センター高岡厚生センター、砺波厚生センター、中部厚生センター、富山市保健所の協力を得て行ったもの。


画像は感染研サイトより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

現在、国内では新型コロナウイルス()オミクロン株スクリーニングの目的で、デルタ株に認められるL452R変異がオミクロン株では陰性となることを利用したPCR検査が実施されている。しかしながら、同研究所におけるL452R変異検出PCR検査では、L452R変異判定不能となる検体の割合が多かった。一方、2022年1月に、オミクロン株を検出できるPrimer/Probe G339D()が市販され、G339D変異検出PCR法を用いてオミクロン株のスクリーニングが可能になった。このため、研究グループはSARS-CoV-2陽性検体を用いて、L452R変異PCR法とG339D変異PCR法によるオミクロン株のスクリーニングPCR法の検出感度を比較検討した。

SARS-CoV-2陽性、オミクロン変異の有無が不明の75検体で検討

検体は、2022年1月中に医療機関等より変異検査用に同研究所に搬入されたSARS-CoV-2陽性、オミクロン変異の有無が不明の75検体(鼻腔/鼻咽頭ぬぐい液44検体、唾液31検体)。2種類のプライマー・プローブ(Primer/Probe L452R、Primer/Probe G339D、タカラバイオ)と、SARS-CoV-2ダイレクトPCR検出キット(タカラバイオ)を用いて、Thermo Fisher SCIENTIFIC QuantStudio(R)5リアルタイムPCRシステムで解析した。なおthreshold cycle(Ct)値40以上の検体は不検出として扱った。L452R変異検査では、L452R変異を持つデルタ株とオミクロン株の452Lを識別できる2種類のプライマー・プローブを用い、いずれの検出系も不検出であった場合を判定不能とした。同様にG339D変異検査においても、オミクロン株の持つG339Dと、デルタ等の株の持つ339Gを識別できる2組のプライマー・プローブを用い、いずれも不検出の場合を判定不能とした。

さらに、カラム等による患者検体のRNA精製が不要なSARS-CoV-2遺伝子検出用ダイレクトPCR法(以下、通常PCR検査)によって、N領域をターゲットとしたプライマー・プローブ(2019-nCoV_N2 F-primer/R-primer/Probe、タカラバイオ)を用いてCt値を算出し、同一検体を用いたL452R変異およびG339D変異検査のCt値と比較した。

L452Rは75検体中42検体で判定不能、G339Dは判定不能4検体でCt値も低い

L452R変異、G339D変異検出検査および通常PCR検査の結果、L452R変異検査判定ではオミクロン疑い株33件、判定不能42件に対し、G339D変異検査ではオミクロン疑い株が70件、デルタ疑い株が1件、判定不能が4件となった。L452R変異検査では不検出のため判定不能となった42検体のうち、G339D変異検査では37件(88.1%)が変異陽性、1件が変異陰性と判定された。L452R変異検査で判定できなかった42検体のうち38検体(90.5%)を判定できた。

次に、すべての検体について通常PCR検査を行い、Ct値の測定を行った。いずれの変異検査でも判定不能とならなかった33検体について、G339D変異検査と通常PCR検査のCt値を比較すると、平均1.2とわずかな差であるのに対し、L452R変異検査と通常PCR検査のCt値を比較すると、L452R変異検査のCt値の方が平均6.5高いことがわかった。

今回の研究では、タカラバイオのキットにおいて、G339D変異検査はL452R変異検査と比較して高い検出感度があり、通常PCR検査と同程度であることがわかった。一方、L452R変異検査では、本来オミクロン株である可能性のある検体に対し判定不能と判定される頻度が高く、オミクロン株の推定がより不正確になることが示唆された。以上のことから研究グループは、変異株スクリーニングにおいては、判定不能例を少なくするために、より検出感度の高い検査を組み合わせるなど、柔軟に対応できる検査体制を構築することが重要であるとの見解を述べている。

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