医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > ASD、男児では1歳時スクリーンタイムと3歳時での診断に関連の可能性-山梨大

ASD、男児では1歳時スクリーンタイムと3歳時での診断に関連の可能性-山梨大

読了時間:約 3分10秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年02月15日 AM11:45

エコチル調査参加の母子8万4,030組対象に

山梨大学は2月14日、男児では、1歳時のスクリーンタイムの長さと3歳時の自閉スペクトラム症(ASD)の診断の有無が関連していたことが明らかになったと発表した。この研究は、同大エコチル調査甲信ユニットセンター(センター長:山縣然太朗社会医学講座教授)の久島萌出生コホート研究センター特任助教らの研究グループによるもの。研究成果は、「JAMA Pediatrics」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

新型コロナウイルス感染症の大流行に伴い、ライフスタイルが急速に変化し、世界的にも子どものスクリーンタイムが増加している。また、幼児期におけるスクリーンタイムと自閉スペクトラム症に関する大規模な追跡調査は、これまでほとんどなかった。そこで、大規模な追跡調査のデータを使って1歳時のスクリーンタイムと3歳時の自閉スペクトラム症の診断の有無との関連について解析した。

今回の研究対象は、環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査()」に参加している10万4,062人の妊婦のデータ、生まれた子どもの3歳時のデータのうち、調査への同意撤回、死産、流産、先天性疾患や脳性麻痺のある子どもを除外した8万4,030組の母子であった。

子どもにテレビやDVDを見せている1日の時間により区分

1歳時のスクリーンタイムは、子どもが1歳になった時点で母親を対象に調査した質問票のデータを用いた。質問は、「子どもにテレビやDVDを見せている1日の時間」を尋ね、スクリーンタイムについて「なし」「1時間未満」「1~2時間未満」「2~4時間未満」「4時間以上」に区分された項目にチェックされた回答を使用。3歳時の自閉スペクトラム症は、子どもが3歳になった時点で母親を対象に調査した質問票のデータを用いた。質問は「2歳のときから現在までに、医師から自閉スペクトラム症(自閉症、、アスペルガー症候群など)と診断されたことがあるか」を尋ね、「はい」「いいえ」の項目にチェックされた回答を使用。

以上のデータを使用し、1歳時のスクリーンタイムと3歳時の自閉スペクトラム症の診断の有無との関連について、多変量ロジスティック回帰分析を実施。関連を調べる上で、スクリーンタイムや自閉スペクトラム症に関連する可能性のある要因として、母親のうつ病、不安障害、統合失調症、その他の精神・神経系疾患の既往歴、子どもが1歳時の母親の心理的苦痛(Kessler Psychological Distress Scale;K6)、愛着(BondingScale)、母親の出生時年齢、世帯収入を考慮した。さらに、子どもが1歳時の発達の遅れ(Ages and Stages Questionnaire[R];ASQ-3)を考慮し、因果関係の逆転(自閉スペクトラム症の素因があるためにスクリーンタイムが長くなる可能性)に対応した。

スクリーンタイム「なし」と比べ、男児で「1~2時間未満」2.16倍、「4時間以上」で3.02倍ASDと診断

研究の結果、男児では、1歳時点の子どもの発達の遅れ(自閉スペクトラム症傾向を含む)などとは無関係に、1歳時のスクリーンタイムと3歳時の自閉スペクトラム症との関連が認められた。スクリーンタイムが「なし」のグループに比べて、「1~2時間未満」のグループで2.16倍、「2~4時間未満」のグループで3.48倍、「4時間以上」のグループで3.02倍、3歳時に自閉スペクトラム症と診断されることが明らかになった。

女児では、統計学的な有意差は認められず

一方、女児では、男児と同様に1歳時のスクリーンタイムが長くなるほど3歳時に自閉スペクトラム症と診断されていたが、統計学的に有意な差は認められず、関連があるとは言えなかった。

幼児期のスクリーンタイムによる健康影響を見直す必要性、示唆

研究グループは、今回の研究の限界として、スクリーンタイムと自閉スペクトラム症の有無について母親の報告に基づいていること、子どもがスクリーンを見ている正確な時間はわからないこと、3歳時点の自閉スペクトラム症の診断について、軽度の場合は経過観察となることもあるため、重度の子どもに偏っている可能性があること、今回考慮した要因以外の外的要因(胎内環境、生活環境、育児環境など)や内的要因(遺伝的要因、他の疾患や障害など)について十分に検討できていないことなどを挙げている。

今回、大規模な調査データから、男児では1歳時のスクリーンタイムが長くなるほど3歳時に自閉スペクトラム症と診断されているという結果が得られた。自閉スペクトラム症の原因は先天的な脳の一部の障害だ。しかし、発症や症状の程度は環境によって影響を受けるといわれている。

同研究によって、スクリーンタイムは影響を与える環境のひとつである可能性が示された。今後、幼児期のスクリーンタイムがもたらす健康影響を見直す必要性が示唆されたとしている。スクリーンタイムと自閉スペクトラム症との関係に影響を与える他の要因や、自閉スペクトラム症のリスクを高める時期・要因の組み合わせなどについてもさらなる研究が求められる、と研究グループは述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 悪性高熱症、RyR1変異による熱産生暴走メカニズムを解明-阪大ほか
  • 食道がん、ゲノム情報+AIで術前化学療法の効果予測に成功-理研ほか
  • 卵巣がんにおける三次リンパ様構造形成メカニズムと予後への影響を解明-京大ほか
  • 妊婦の喫煙は妊娠高血圧症候群のリスク増、欧州と正反対の結果-成育医療センターほか
  • 急性赤白血病、ゲノム解析で4つのサブグループに分類し治療標的も発見-京大ほか